リバプールで起きた暴力騒ぎが、波紋を広げている。

 現地時間4月24日、アンフィールドで行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝第1レグ。リバプールがローマを5-2で退けた一戦のキックオフ直前に、事件は起きた。

 地元のマージーサイド警察は、53歳(男性)のリバプール・サポーターを鈍器のようなもので襲ったとして、25歳と26歳のローマの男性サポーター2人を殺人未遂容疑で逮捕したと発表した。

 合計7つのゴールが生まれた好ゲームの真裏で起きた事件。この日、現場で取材を行なっていたスティーブ・マッケンジー記者は、「私が周りの記者に聞いたり、現場を見たところによると、ローマのファンはベルトを凶器に使ったようだ」と、『サッカーダイジェストWeb』の取材に対して明かしている。
 

「彼らのベルトにはトゲのような危険な突起が付いていて、それを振り回していたみたいだ。捕まった2人をはじめとするローマの集団は、『Liverpool』というスタジアムの近くのパブを襲撃したことからも、相手ファンが溜まるポイントを知っていたのだろう。残念でならない」

 また、同記者はローマとイングランドのチームがこれまでも幾度か衝突してきたことを話してくれた。

「ローマとイングランドのチームの間には、トラブルを引き起こしてきた歴史がある。2006年のUEFAカップ準々決勝で対戦したミドルスブラや、2007年のCL準々決勝で激突したマンチェスター・ユナイテッドのサポーターたちが襲われたことは記憶に新しい。

 私のある知り合いは、『ローマのファンはナイフを使用してくるから本当に危険だ』と言っていた。実際に今回、リバプールにやって来た一部のロマニスタも血の気が多く、暴力行為が名誉や誇りかのように、誤った考えを持っていたようだ」
 もちろん、今回、愚行に及んだのはローマの一部のファンにすぎないが、スティーブ記者は「被害に遭った53歳の男性はいま、危篤状態にあり、自らの人生を生きるために必死に戦っている」と被害者の無事を祈りつつ、「アイルランドからやって来た彼は、戦いやトラブルを探しに来たわけではなく、愛するクラブのフットボールを観に来ただけだった。それでも、ローマのファンは誰かれ構わずに攻撃に及んだ。決して許せる行為ではない」と訴えた。

 英大衆紙『The SUN』によれば、来週水曜日にローマで行なわれる第2レグに向けて、すでに現地警察がセキュリティー体制を固めており、5000以上人ともいわれるリバプール・ファンを護衛すると報じている。
 

 しかし、スティーブ記者は「スタディオ・オリンピコに行くためには必ず渡らなければならない橋があり、そこで待ち伏せを受ける可能性が高い。こんなことを言うのは物騒かもしれないが、両軍の衝突は避けられないのではないか……」と不安を口にしている。

 UEFAはローマに対して、罰金とアウェー戦でのサポーター入場禁止を命じる可能性があることを示唆しているが、二度と今回のような悲劇的な出来事が起きないように反省を促す、きっちりとした処分を下してもらいたいものだ。