2300年に及ぶ「石の文化」で注目を集める石川県小松市。新幹線で金沢に着いたら、JR北陸本線に揺られて30分で行けます。

行ってみたくなる!“石の町”「石川県小松市」フォトギャラリー

石の歴史や物語にふれつつ、写真を撮りながら散歩するのが楽しい小松市を訪れてきました。

宝石店のような「小松市立博物館」

最初に訪れたのは小松市立博物館(小松市丸の内公園町19)。まずこちらで石の基本や歴史をおさらいしてから、「石の町」小松市を探索すると、旅がより深く、面白いものになると思います。お目当ては3階にある、石文化をたどれる特別展示。

この日は学芸員の梨木之正さんが解説してくれました。普段もレクチャーをお願いすると、展示を順に見ながら詳しく説明してくださるようです。凝灰岩や安山岩、流紋岩、碧玉、石英……聞いたことがある石はありますか?

いろいろな石の説明を聞いたなかで、とくに興味深かったのは「緑鉛鉱」でした。緑と付いているので、緑色の石かと思いきや、小松で採れる緑鉛鉱のみ、なぜか紫なのだとか。自然が生み出す偶然はとても神秘的です。

展示室中央には、梨木さんら学芸員の皆さんが、川原で拾い集めた美しい石たちが集められています。

石ってこんなにきれいだったっけ? これは何の石? ひとしきり説明を聞いた後は、そんな風に石のことが気になってたまらなくなっているはず。

蒼い水たまりが美しい「鵜川石切り場跡」

民家裏にある鵜川石切り場跡(石川県小松市鵜川町)へ。緑が生い茂る入り口から進むと、中は洞窟そのもの。しんと冷えた空気が気持ち良いです。天井や壁にはかつて良質な石材を求めた職人たちが、手作業で掘り進めた跡が確認できます。

ところどころに蒼く澄みわたった地下水が溜まった様子は美しく、写真を撮りたくなるスポットのひとつです。

この地下水はとても長い時間をかけて、凝灰岩でろ過されたものだとか。天井から垂れる水滴が作る波紋も幻想的です。

鵜川石切り場跡は一般開放されているわけではないため、見学したい場合は小松市観光交流課まで連絡を。

インスタスポットがたくさん!「ハニベ巌窟院」

今小松市で若者たちに人気のフォトスポットのひとつとなっているのが、ハニベ巌窟院(石川県小松市立明寺町イ1番地)。役目を終えた石切り場が、仏像などの彫刻を安置した観光地へと姿を変えました。ハニベとは埴輪のことです。

1951年に誕生したハニベ巌窟院は高台にあり、上で訪れた鵜川石切り場跡をはるかに超える広さが自慢です。初代と二代目の院主が作った不動明王や阿弥陀如来など、さまざまな仏像群がズラリと並ぶ様に圧倒されます。

中でも人気なのは「鬼の食卓」。目玉の串ざしや耳と舌の甘煮など、おどろおどろしい食事を堪能中の鬼たちに混じって写真を撮る人も多いそう。

一つひとつ手作りされた箸置きなどの埴輪アイテムはお土産におすすめです。

自然が生んだ奇岩鑑賞を楽しめる「那谷寺(なたでら)」

2017年に開創1300年を迎えた那谷寺(石川県小松市那谷町ユ122)。境内には、大悲閣(本殿)や三重塔、護摩堂、鐘楼など国の重要文化財がいっぱい。名勝に指定された奇岩遊仙境は注目のフォトスポットのひとつです。

永い年月を経て、風と波に洗われるようにして、現在の奇岩ができあがったと言われます。

奇岩遊仙境の向かいにある楓月橋(ふうげつきょう)や展望台などから写真を撮るのがおすすめ。

絶好のフォトスポット「滝ケ原アーチ石橋群」

明治後期から作られたアーチ型の石橋が5つも現存する滝ヶ原。狭いエリアにこれだけの歴史ある石橋があるのはとても珍しいそう。

日本国内における石橋の9割は九州地方に現存しています。

最初に訪れたのは丸竹橋。石橋って見れば見るほど不思議になります。角ばった石を集めて、一体どうやってアーチ型の石橋が完成するのか。綿密な計算に基づき、正確な石組みがされているのですね。

丸竹橋とその後に訪れた東口橋ともに特徴的なのが、橋桁すぐ下に点々と石が突起のようにはめ込まれていること。これが貫石と呼ばれるもの。滝ヶ原アーチ石橋郡に見られる特徴ですが、これがあるのとないのとでは、どれくらい構造に差があるのかは未だ解明されていないそう。

歴史好きにも写真好きにも、きれいなもの好きにもたまらない石の町、小松市。国内旅行の候補におすすめです。

取材協力/小松市観光交流課