なぜはじまったのか、撮影中は合唱曲を熱唱して盛り上がる6人。声優とアイドルのハイブリッドグループであるi☆Ris(アイリス)の雰囲気は、彼女たちのステージ上での体育会系なライブパフォーマンスと同様、とてもパワフル。ツッコミ不在の「ボケたらボケっぱなし」という自由すぎるトークに、いつのまにか引き込まれてしまう。そんな彼女たちのアツいエネルギーはどこから来るのだろうか? ライブ同様の熱量がこもった自己紹介から、インタビューはスタートした。

撮影/曽我美芽 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

『プリパラ』との思い出が凝縮されたような1曲

以前、芹澤さんはソロでインタビューをさせていただきましたが、i☆Risさんとしてはじめてということもあり、まずは自己紹介からお願いできますか?
山北 はい! では、ライブバージョンの自己紹介をさせていただきます。では、いきます。あなたが好きなのは、姫様? 女王様? いーえー?
一同 さきさまー!
山北 ありがとうございます。緑の王国、北海道から来ました。i☆Risのちょっぴりドジな天然リーダー、“さきさま”こと、山北早紀です。
澁谷 いえーい!
芹澤 それじゃあ行くよ、せーのっ! いつでもー? みんなをー?
一同 アイ、ラブ、優ちゃーん!
芹澤 “優ちゃん”こと、芹澤 優です。…はい!(笑)
▲山北早紀
▲芹澤 優
茜屋 それじゃあみなさん、一緒にお願いします。ニックネームはー…?
一同 ひみだよ、ひみだよ、ひみだよー!
茜屋 イメージカラーはバイオレットじゃないよー?
一同 パープルだよー!
茜屋 汗も滴るイイ女…。
澁谷 フー!
茜屋 (笑)。こと茜屋日海夏です! あはは、合いの手が完璧!
若井 では、私ですね。いきます! みなさん、こんにちわかい〜?
一同 こんにちわかい〜!
若井 ありがとうございます。勇気りんりん、元気ハツラツ…。
澁谷 カワイイ!
山北 ライブ会場が再現されてる(笑)。
若井 (恥ずかしげに笑って)ありがとうございます。“ゆうき”こと若井友希です。イメージカラーはレッドです。よろしくお願いします!
▲茜屋日海夏
▲若井友希
久保田 はい、いきまーす。みなさん、こんにちわんわんおー!
一同 わんわんおー!
久保田 はい、よくできました。わんわん王国の姫様“みゆたん”こと、久保田未夢です。イメージカラーはオレンジです。よろしくお願いします!
澁谷 はい! みなさん! おっはもーにんぐ!
一同 おっはもーにーんぐ!
澁谷 はい! 八重歯とえくぼは笑顔の印! “ずっちゃん”こと澁谷梓希です。
一同 いえーい!
▲久保田未夢
▲澁谷梓希
とても楽しい自己紹介をありがとうございました。さて、2月21日に発売される15枚目のシングル『Memorial』は、みなさんも声優として出演している、テレビアニメ『アイドルタイムプリパラ』のオープニングテーマとなっていますね。2014年から放送されているテレビアニメ『プリパラ』シリーズのラストを飾る主題歌です。
茜屋 i☆Risはこれまで『プリパラ』の主題歌を歌わせてもらっていて、少しあいだが空いてしまいましたが、こうしてまた主題歌として帰ってこられてうれしいです。今までの『プリパラ』の思い出がギュッと詰まったような1曲になっていて、ある意味ひとつの区切りのような感じではあるのですが、歌詞的にも「終わらないでこれからも続いていくんだ」みたいなエールにもなる、明るい楽曲になっていると思います。
芹澤 i☆Risが『プリパラ』の最初のオープニングを担当した『Make it!』で作詞をしてくれた森月キャスさんと、作曲をしてくれた渡辺 徹さんが今回も手掛けてくださっていて。1番のサビの「ドキドキ思い出して、何もかも輝いて無敵にだってなれた」っていう歌詞に似たフレーズが『Make it!』にも出てくるんです。
『Make it!』を思わせるような歌詞になっているんですね。
芹澤 ファンの方からしたら「お!?」と思うポイントじゃないかなと思います。まさに最初と最後をつなぐ、アニメのクライマックスにふさわしい曲だなと感じます。
若井 今までの曲って、現在進行形の歌詞が多かったんですよね。「頑張っていこう!」みたいな。でも、『Memorial』の歌詞は過去形が多いんです。「だったんだね」とか「なれた」とか。それが今までの思い出を思い起こさせるようで、切なさもありました。
久保田 歌詞を見て、「作品のなかでこういうことがあったな」とか「キャラクターたちもこういうことを思っていたのかな」と感じるフレーズが散りばめられているなと思いました。キャラクターたちもこういうことで悩んで、お互いに助け合って、乗り越えてきたからこそ、今この歌詞がしっくりくる。とても説得力があるなと。
みなさんは作品のなかで声優としてキャラクターを演じているからこそ、そういう思いも強そうです。
久保田 そうですね! とても感じます。
澁谷 Dメロのところで、“とき”と読むワードが2箇所あって、“瞬間”と“季節”で漢字の書き方が違うんです。これまで『プリパラ』で過ごしてきた一瞬の出来事だったり、かけがえのない季節だったり…そういった思い出がよみがえるような歌詞だなと思いました。『プリパラ』は終わるけれど、次には新シリーズ『キラッとプリ☆チャン』がはじまるし、終わりのようではじまりのような…次にバトンをつなぐような1曲。前向きに、終わりに向かうイメージでした。
山北 曲に関してはみんなが話してくれたので、私からはダンスについてを。今回もすごくダンスにこだわってもらっていて、作品を意識した振り付けになっています。間奏部分ではSoLaMi♡SMILE(ソラミスマイル/『プリパラ』内で、茜屋・芹澤・久保田が声を務めるキャラクターのユニット)とDressingPafé(ドレッシングパフェ/『プリパラ』内で、山北・澁谷・若井が声を務めるキャラクターのユニット)に分かれて、チーム結成の儀式であるトモチケをパキる振り付けが入っているんです。
『プリパラ』の世界内では、衣装のコーディネートが記憶された“プリチケ”の切り離しできる部分を“トモチケ”と言い、パキる(交換する)ことで、友情を確認します。では、MVではそういったダンスにも注目ですね。
山北 はい。だからライブにもぜひ来ていただいてダンスを見てほしいです。
CDジャケットには、これまでみなさんが『プリパラ』の主題歌を担当したときのジャケットがデザインで並んでいるんですよね。
澁谷 今回のジャケット撮影をしている段階では、どんなふうになるのかがまったくわからなかったので、完成したものを見て「あ、こんなに歴史があったんだ」と実感しましたね。そのときごとに思い出があって…みんなの表情も違うし、見比べられるのは面白いです。本当にいろんなときを刻んできたなって。
芹澤 私は逆に「こんな少なかったっけ!?」って思っちゃいました。i☆Risの活動の多くが『プリパラ』だったこともあって、私たちは長いあいだ『プリパラ』と過ごしてきたんですよね。だからこそ、もっと一緒にいたような気がしていたというか…。
意外だった?
芹澤 はい。もっといろんな楽曲を歌った気がしたなっていうイメージでした。

6人で会話をしているようで噛み合ってないときがある

ぜひみなさんの関係性についてもおうかがいしたいと思うのですが、先ほどの撮影時にみなさんが合唱曲を歌って盛り上がっていた姿を拝見して、仲のよさやにぎやかな様子が伝わってきました(笑)。
若井 あははは、さっきはすみませんでした。撮影しながらも歌ってましたもんね(笑)。
茜屋 口を閉じながらも歌っているという。
久保田 しかも歌ってたの合唱曲だよ。面白すぎるでしょ(笑)。
自然とみなさんの合唱になっていたのですが、どなたが最初に歌いはじめたのでしょうね…?
茜屋 えっ。
若井 誰だろう…覚えてない。
茜屋 自然な流れで…?
芹澤 うん、自然な流れ…(笑)。
久保田 そもそも、合唱曲の話をしていたところから歌いはじめたのだと思うんですけど、何で合唱曲の話になったんだろうね?
茜屋 それもわからない(笑)。でも、たまにあるよね。
若井 話の流れがいつも突発的なんです。
茜屋 気がついたらみんなで歌っています。
芹澤 そう(笑)。でも、今日1日取材をしていたなかで、6人のテンションは今がマックスに高いと思います(笑)。
若井 うん、今日イチのテンションです!
そうなんですか!? それはとても光栄です(笑)。そういう意味で、みなさんのパワーバランスと言うと…。
澁谷 i☆Risはひとりひとりが補い合って支え合っているので、明確にツッコミ担当がいるわけではないんですよね。
茜屋 そう。ボケたらボケっぱなし、自己回収なんです。
そう言われれば…さっきの合唱もインタビュー直前までみなさんで歌っていましたが、スッと終わりました(笑)。
一同 そうそう!
茜屋 そう(笑)。全員で歌って。
芹澤 飽きたら終わるんです(笑)。
久保田 i☆Risでは、会話をしているようでたまにしていないときとかありますよ。
茜屋 みんな、自由なんです。
久保田 自分がしゃべりたいことだけしゃべっているので、会話が全然噛み合っていなくて。それで飽きたらスッといなくなるみたいな。
若井 ずっちゃんに多いパターンじゃん。
澁谷 私含め、みんなにもあるでしょ?
一同 (笑)。
澁谷 本当に家のリビングで会話をしているような感じなんです。
気兼ねない自由な感じなのですね(笑)。でも、ライブのときなどはパキッとまとまりますよね? みなさんのパフォーマンスはダンスも激しめですし、6人のまとまりがないと絶対にできないと思うのですが…。
山北 それも自然とですね。「よし、まとまろう!」みたいな切り替えはなく。もしかしたら、ライブ前の円陣で切り替えているのかもしれないですけど、1時間前の控室にいるときは「うえーい!」とか言っていても、急に引き締まるんです。
澁谷 ライブは100パーセント生で歌って踊るからこそ、ひとりひとりの声を聞かないといけないし…。
芹澤 i☆Risのライブは、ほかのメンバーを感じていないとできないんです。
自分以外の5人を感じていないと?
芹澤 はい。ダンスのフォーメーションも細かいし、歌もハモりがあるので。そのなかで「ここは自分が目立つところ」っていうのはありますが、そこもメンバーをしっかり感じて合わせていないとできないんです。
若井 今となってはそれが自然とできていますね。デビュー当時は「6人のまとまりがないね」と言われていたこともあったのですが、今こうして5年やってきて、自然と周りを感じられるようになった。
芹澤 もう自然とメンバーの歌を聞くクセ、感じるクセがついているんじゃないかなと思います。
たとえば、歌、ダンス、ライブ、グループのことなど…6人の意見が衝突することもありますか?
若井 それに関しては…i☆Risは意見を言うタイプのメンバーもいれば、意見を聞くタイプのメンバーもいて、みんなで言い合うっていうのはあまりないですね。
澁谷 みんなそれぞれ意見を言うときはしっかり言う感じかなーと、もっとこうしたらよくなるっていう自分の意見に、プラスアルファしていろいろ提案したり。6人いるからこそ、意見を言わなきゃいけない場面はあるし、そういうのは大事にしたいなって。
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