サポートを必要とする視覚障がいの人々にとって大切な存在といえば盲導犬だ。世界各地で活躍する盲導犬の存在は一般的に知られているが、このほどイギリスで初めて馬による視覚障がい者へのサポートが導入された。英メディア『London Evening Standard』『Metro』『The Sun』などが伝えている。

ランカシャー州ブラックバーンに住むBBC記者のモハメド=サリム・ペイテルさん(23歳)は遺伝性疾患の網膜色素変性症を患っており、日常的なサポートを要する。しかしペイテルさんは大の犬恐怖症で、盲導犬と生活することは困難だ。そこで、このほど“盲導馬”を紹介された。

体高わずか2フィート(約61cm)のアメリカンミニチュアホース“ディグビー”は今後、盲導犬と同じようにペイテルさんの日常生活をサポートしていく存在となる。しかし現在は訓練中であることから、 ノース・ヨークシャーのノーザラートンに住む飼い主のケイティー・スミスさんと一緒に暮らしており、ペイテルさんと生活できるのは2年後になるそうだ。今回、ブラックバーン市内をディグビーと一緒に歩いたペイテルさんは、感想をこう述べた。

「馬が盲導犬と同じように訓練されていると知った時には嬉しくなりました。私は犬は苦手ですが、馬は大好きなのです。この先、ディグビーにはブラックバーンの街で私と一緒に歩き回ることに慣れてもらわないといけませんし、ディグビーを見て物珍しさに寄って来る人や触る人も出てくるでしょうから、私もそれに対応できるようにしていかなければならないでしょう。」

またケイティーさんは、この新しい取り組みについてこのように語っている。

「アメリカでは現在、ディグビーによりもさらに小さい14頭のミニチュアホースが視覚障がい者へのサポートのために訓練を受けています。その寿命は長く、45年〜50年も生きることができます。アレルギーや恐怖症、何らかの健康問題を抱えている人にとっても、サポートする動物の選択肢が増えるのはいいことだと思います。環境庁には、ディグビーはトイレトレーニングがきちんとできているということを理解してもらえるように話をする予定です。」

このニュースを知った人からは、「トイレの訓練もしっかりできているなんて素晴らしいね」「でもタクシーに乗りたい時はどうするのかな…盲導犬みたいに一緒に乗れるのかな」「盲導馬なんてすごくいいアイデアだと思う。きっと犬のように飼い主と間に深い絆が育まれるだろうね」といった賛成する意見のほかに、「なんだか馬がかわいそう。馬にサポートさせるというのは間違っている」「さすがに馬と同伴でレストランへは行けないだろ」「店内や道で万が一糞をしたら誰が片付けるんだ」「馬を使うのではなくまず犬への恐怖症を治すべきでは?」といった声もあがっている。

画像は『London Evening Standard 2018年2月6日付「Blind man with fear of dogs given the UK’s first guide horse」(John Pinto)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)