●LINEの広告事業3タイプ

LINEの2017年12月期通期決算は、売上収益が前年比18.8%増の1671億円、営業利益は同26%増の250億円と好調だった。広告事業が大きく成長しており、収益に貢献した形だ。決算説明会でも広告事業に関する説明に多くの時間が割かれた。

○LINEの広告事業

広告事業の売上収益は765億円で前年比39.9%増、売上収益の約46%を占める一大事業となっている。広告にはポータル(livedoor、NAVERまとめ等)、メッセンジャー型(公式アカウントやLINE@など)、パフォーマンス型の3つに分類されるが、多様なターゲティング配信が行なえるパフォーマンス型広告の成長が著しく、今後も期待されている。

LINEにおけるパフォーマンス型広告はこれまで、LINE NEWSやLINE マンガ、LINE タイムライン、LINE BLOGを活用し広告掲載面を拡大させてきた。これらのサービスを活性化させることで、広告スペースを拡充、広告表示によって収益化を進めることができたわけだ。

LINE NEWS、LINEマンガは利用回数の増大などにより、広告表示回数が増えていくことになり、結果として広告インプレッション数は前年比2.8倍。広告単価も上昇しており、収益に増大につながっている。

今後についてもパフォーマンス型の成長余地は大きいが、同社が期待するのは動画広告である。LINEは昨年12月に動画広告プラットフォームの開発・販売・運用を行なうファイブを完全子会社化した。ファイブは1800以上のメディアパートナーと提携しており、広告接触が可能な月間利用者数は2800万人以上いるとし、動画広告に力を入れていく考えだ。

メッセンジャー型広告についても、2017年は国内外でのLINE公式アカウント、LINE@のアカウント数が増大したという。特にLINE@については、グローバルで270万アカウントの増加となっており、国内でも利用が進み、現時30万店舗以上で利用されている。LINE@は今後進めていくLINE Payの本格普及に向けての土台となるという。

●広告以外の事業の現状

○広告以外は?

広告以外の事業についても触れておこう。コミュニケーション(スタンプ、着せ替え、LINE Out等)は主にスタンプが牽引。売上収益は302億円と前年比3.2%増だった。コンテンツ(LINE GAME、LINE Play、LINEマンガ、LINE MUSIC等)は主力のLINE GAMEが奮わず同10.4%減となった。

すべてが前年を上回るなかで最も苦戦しているのがゲーム事業だ。昨年度は韓国のネクストフロアを買収し、新会社LINE GAMESを設立、従来とはターゲットずらしたゲームの開発を進め打開を図ろうとしている。出澤剛社長によると、既存タイトルの落ち込みを新規タイトルでカバーできていないが、新規タイトルに反応良好なものも出てきているとしている。

その他事業(LINE FRIENDS、LINE Pay、LINEモバイル等)では、LINEモバイル、LINE FRIENDSが成長を牽引し、前年比69.8%増の202億円となった。

○2018年12月期は?

今年度の業績見込みは非開示だ。ただし、LINE全体の売上収益は前年並みの成長率を目標に設定している。広告事業について出澤社長は「売上収益で全体の50%を超えてくる可能性がある」とするものの、楽観しているわけではない。「トレンドは以前として強いものの成長率といういいでは若干落ちる可能性がある」とする。LINEは2018年の新投資分野をAIとフィンテックに定めているが、ここでの収益化が次なる大きなチャレンジとなりそうだ。