7日放送、テレビ東京「追跡LIVE! Sports ウォッチャー」では、J1・ジュビロ磐田に所属する中村俊輔(39)が、かつて「相手にもならなかった」というライバルと再会した。
39歳になった今も輝きを放つ天才レフティーが、中学生時代に舌を巻いた人物は、かつてのチームメートである富田学さん。中村は「背も大きくて、うまくて、かっこよくて、全部そろっている」富田さんを「天才でしょ」「もう別格」と絶賛した。
だが、そんな富田さんは、シニアに昇格してから1年と経たないうちに横浜マリノスを退団した。日本クラブユース選抜の主将も務めたほどの男が、ケガでもないのにサッカーを辞めたのはなぜなのか。理由を問わなかったという中村は、引き留めようとしなかったことが引っかかっていた。
かつての恩師たちのツテをたどり、現在は大手保険会社でエリートビジネスマンとなっていることを突き止めた番組の取材に、富田さんが明かした理由は、天才ゆえのものだった。
文武に秀で、本気で「東大生Jリーガー」となることを目指していた富田さんは、センター試験で好成績を収めたものの、二次試験で不合格に。さらに、高校3年生の夏から半年ほど受験勉強に専念したことが、サッカーにも大きく影響したという。
「それまで積み重ねてきたものがその半年でだいぶ薄まれてしまった」「感覚もうまく取り戻せない」と、富田さんはプロに入ってから9カ月ほどで退団。天才ゆえに、精密すぎる歯車が、二度と戻らなかったのだ。
「二兎を追って一兎をも得ずじゃないですけど、今思えばすごく甘かった」という富田さんは、滑り止めで受かった慶應大学でサッカーを続け、背番号10を纏って活躍した。だが、一度失った自信は戻らない。富田さんはサッカー選手として「いろいろ後悔するポイント」があったと振り返る。中村の活躍には「素直に応援する気持ちと、うらやましいなって気持ち」の両方があったと認めた。
20年ぶりに再会した中村が、辞めようとしていた同期に声をかけられなかったことへの悔いを漏らすと、富田さんも「もうちょっと続けていれば良かったな」という気持ちがあると認めつつ、「ガキだから相談もできなかったね。周りにも」と打ち明けた。
ジュニアユースからユースに昇格できず、挫折を味わった中村が、プロ入りの際に数あるオファーからマリノスを選んだのも、「富田とかトップに上がれた人にもう1回挑戦して、自分のレベルを上げて抜きたい」と、自らの成長を確かめたいという想いがあったからという。
そんな中村に、プロに入ったときには「もう俊輔のほうが上だと思っていた」と富田さんが明かすと、中村は「早く言えよ、そういうの。自信がついたはずなんですけど」と笑って返答。さらに、「よし、勝ったーってなれる」と、自身の引退試合に出るように要請した。
富田さんが「ぜひ呼んで」と快く応じると、中村は「これは刺激になった。来季ヤバいぞ、オレ。頑張れる」と、新たなモチベーションになると喜んだ。
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