2017年も数多くのスマートフォンが登場しました。ネット上では「今年のベストスマホ」なんて話題も多く見られます。その顔触れを見ると「iPhone X」や「Galaxy Note8」がならぶなど、ほぼ妥当なランキングになっています。

もちろんこれらの製品が素晴らしい出来であることに筆者は異論を唱えません。しかし日本やグローバル市場で大きな話題には上がらなくとも、スペックや特徴的な機能を持ったスマートフォンが他にも数多く登場しました。そこで毎月のように海外展示会を取材している筆者の独断で「影のベスト10」とも言える製品をセレクトしました。

1位 : Razer「Razer Phone」

ゲーミングPCメーカーのRazerから発売になったRazer Phoneは、今年最強のスペックを備えたスマートフォンと言えます。Snapdragon835はもちろん、RAM8GBで動作も余裕。ストレージ64GBはもう少し欲しいところですが、定価を699ドルに抑えるためにここは妥協店。必要ならばマイクロSDで拡張可能です。そしてリフレッシュレートが120Hzという5.7インチのQHDディスプレイは高速なゲームがぬるぬるサクサクと表示されていまいます。

さらには4000mAhの大容量バッテリーを搭載。Quick Charge 4.0にも世界初の対応で高速な充電に対応。もはや外出中にモバイルバッテリーを持ち運ぶ必要も無く、朝の短い時間や会社などで急速な充電も可能です。カメラは1200万画素のデュアル。日常的な写真を撮影するには十分すぎるでしょう。そして本体の背面に映えるRazerのロゴがカッコイイ。スペックだけではなく外観もCoolな仕上げはゲーミング用途だけに使うのは勿体ないはず。今年のベストバイとも言える、最強端末です。



2位 : サムスン「心系天下W2018」

サムスンと中国のキャリア、チャイナテレコムのコラボレーションで毎年1モデルが発売されている折り畳み式の端末。その歴史は今から10年前に始まり、当初はフィーチャーフォンでしたが今や閉じても開いても使える2画面Androidスマートフォンになっています。全体にゴールド色を基本としたカラーリングはやや中国色が強いものの、強度あるヒンジなど高品質な造り。それもそのはずで心系天下は「高級端末」でもあり、W2018の価格は1万5999元、約27万5400円。この価格ですから数を出すのではなく、この製品に価値を見出すユーザーだけをターゲットにしています。


チップセットはSnapdragon835、RAM6GB、ROM64GB。4.2インチフルHDディスプレイは両面構造で、折り畳み時も開いたときもどちらでも端末を利用できます。またメインカメラは1200万画素ですが、F1.5と明るいレンズを搭載。カメラ画質は定評あるGalaxyシリーズと変わりませんから、暗いシーンでの撮影もよりクリアになっています。高級万年筆と一緒に持ち運びたくなる、そんなラグジュアリー感にあふれた製品なのです。



3位 : OnePlus 5T

OnePlus(ワンプラス)は今や少数精鋭、ハイスペック機を次から次へと送り出すメーカーとして有名です。今話題のOPPOからスピンアウトしたメーカーでもあり、独自の超高速充電「Dash Charge」はOPPOの「VOOC」とほぼ同じ技術を採用しています。USB Type-Cながら専用ケーブルと充電器が必要になるものの、35分で60%、そこから45分でフル充電が可能。

OnePlus 5Tは2017年11月発売。6月に発売されたOnePlus 5のディスプレイを5.5インチフルHDから6.01インチ1080x2160ピクセルに変更したモデル。カメラは1600万画素を背面に2つ、フロントに1つ。カメラへのこだわり、特にフロントカメラ重視はOPPO譲りの特徴でしょう。チップセットはもちろんSnapdragon 835です。価格はRAM8GB+ROM128GBが599ドル、RAM6GB+ROM64GBが499ドル。マイクロSDスロットが無いため、上位モデルを買うべきですね。



4位 : シャオミ「Mi Mix 2」

迷走を続けていたシャオミも、大画面+ベゼルレスのMi Mixシリーズの投入で自社の顔となる製品にようやくたどり着いたと言えます。2016年発売の初代「Mi Mix」はあるい意味シャオミらしくない、先進的な製品でした。なぜならシャオミと言えば最高の部品を組み合わせ、それを低価格で送り出すメーカーだったからです。しかしMi Mixは高価格で、しかも市場での採用実績のほとんど無い6.4インチのベゼルレスディスプレイを搭載した製品でした。Mi Mix 2はMi Mixほどベゼルは薄くないものの、3辺はほぼギリギリまで表示エリアで、しかも18:9の5.99インチディスプレイ採用で片手でも楽に保持できます。



OnePlus 5T同様に最上位モデルはRAM8GB+ROM128GBの構成。セラミックボディーの高品質モデルも用意されます。カメラが1200万画素のシングルだったり、背面に指紋の跡が付きやすいなどやや気になる面があるものの、「前面ほぼフルディスプレイ」の魅力が勝ります。香港や台湾の実店舗でも販売されているため入手しやすくもなりました。128GBの価格は香港で4299香港ドル(約6万2300円)と、スペックの割にはリーズナブル。大画面がマストな人にも勧められる製品です。



5位 : Meizu「Pro 7 Plus」

シャオミと新興メーカーの地位を争っていたMeizu(メイズ、魅族)のフラッグシップモデルです。最大の特徴は背面に1.9インチ240x536ピクセルのサブディスプレイを搭載していること。日時や天気やSNSの通知の他、カメラのファインダーとしても利用可能。このサイズでもタッチパネルとなっています。メインディスプレイは5.7インチ1440x2560ピクセルで、下位モデルの「Pro 7」の5.2インチ1080x1920ピクセルよりも高解像度。チップセットもメディアテックながらHelio X30を搭載します。


カメラは1200万画素のデュアルに加え、フロントは1600万画素。このあたりはセルフィー人気に乗っています。ネックになるのは価格で、RAM6GB+ROM64GB版が3580元(約6万1600円)、同じく6GB+128GB版が4080元(約7万200円)。Helio X30搭載とは言え、背面ディスプレイに価値を見出すかどうかが選択のポイントになります。

5位までの製品はグローバル市場ではややマイナーな扱いながらも、チップセットやディスプレイなどに特徴のある、なかなか侮れない製品ではないでしょうか。さてこのあと、6位以降は簡単なコメントで紹介します。

6位 : OPPO「R11」

OPPO躍進の立役者ともいえる製品です。Snapdragon 660にフロント2000万画素カメラ、リアが1600+2000万という構成で、セルフィーはもちろんスナップ撮影などあらゆるシーンで簡単にきれいな写真が撮れるカメラフォンとしての地位を絶対的なものにしました。価格は2999元(約5万1600円)。1000元台の端末よりも質感は高くカメラ画質もよいことから中国で売れまくりました。

7位 : Meitu「 V6」

セルフィースマートフォン専業ともいえるMeitu(メイトゥ、美図)の最新モデル。カメラは前後共に1200万画素+500万画素のデュアルで合計4つを搭載します。この組み合わせによりボケを活かしたポートレート写真(端末ニューではムービーモード)の撮影が可能。他社のカメラでも同様の写真が撮れますが、セルフィーの研究に特化したMeituだけにボケの具合はまるでスチール写真や映画のワンシーンのような美しさ。そして本体は革張りで高級感もあります。

7位 : ハイセンス「A2 Pro」

ハイセンスが突如投入した2画面スマートフォン。YotaPhone同様に裏面にE-Inkを使ったモノクロディスプレイを搭載しています。スペックはSnapdragon 625にRAM4GB、ROM64GB。カメラは1200万画素。背面の5.2インチHDディスプレイを使い電子書籍などを多用するユーザーには便利な1台。他のメーカーがYotaPhoneを追従しない中、家電メーカーがこの手の製品を出してくる姿勢は評価したいものです。


8位 : ノキア「Nokia 8」

ノキアのフラッグシップとなる製品はスペックだけを引き上げたのではなく、3つのカールツアイスレンズカメラを搭載するという意欲的な製品です。カメラ周りについては筆者のノキア振り返り記事を読んでください。

Nokia 9が待ち遠しい!6モデル登場の2017年はノキア復活の年だった

ノキア復活を感じさせる、新しいユーザー体験を提供できるスマートフォンだけに、今年のベスト10に入れるべき製品でしょう。



9位 : Everest Mobile「8848 M4」

2016年から中国で高級スマートフォンを販売しているEverest Mobileの最新モデル。2017年はヴァーチュ(VERTU)が7月に財政破城し事実上倒産。貴金属や革を使った高級端末は市場で受け入れられないという結果になりました。しかし8848 M4は同様な素材を使いながら価格は20万円台に抑えることで中国の富裕層などに受けています。スペックはSnapdragon820にRAM6GB、ROM128GB、5.15インチフルHDディスプレイ、2100万画素カメラなど。チタンフレームに本革や純金を使ったボディーの製品をこれからも作り続けてほしいものです。



10位 : Unihertz「Jelly Pro」

世界最小LTEスマートフォンを謳う超小型端末です。キックスターターでの資金調達は成功したものの本当に出てくるかどうかが危ぶまれましたが、9月に出荷開始となりました。2.4インチディスプレイでの指先入力はかなりつらく、スピーカーの音質も本体サイズを考えれば相応なもの。バッテリーが小さいためテザリングをONにしてルーター代わりに使うにも長時間は利用できません。しかしスマートフォンが手のひらサイズに小型化されたことで、新しい使い道が見つかるかもしれないという、ある意味ユーザーに使い方を発案させるという点では画期的なデバイスと言えます。実用性よりも、使い道を考えてワクワクするだけで価格の元は取れるでしょう。