「ラーメン好きに最高の一杯を!」のコンセプトを掲げて発売した、ラーメンWalker関西(KADOKAWA)の最新版。その巻頭特集の人気ラーメンブロガー座談会の中で、気になるキーワードがでてきた。“手打ちそば店“が提供する醤油ラーメン。

【写真を見る】そば店らしくラーメンもおぼんにのせて提供/キッチン ワタミヤ

人気ラーメンブロガーとは、関西の新店を誰よりも食べ歩く、とよつねさん、黒帽子さん、グッドさん、まーちんさんの4人。

グッド「異業態がラーメンを出していておいしかった」。まーちん「オモシロい“カエシ”(※スープのタレ)を使ってます」。誌面では店名を伏せていたが、新店ハンターのおすすめ情報をもとに、こっそりとラーメン覆面調査を開始した。

11月12日、雨の夜。大阪・谷町四丁目に降り立って向かったのは、「キッチン ワタミヤ」。店主は22歳から10年間、有名割烹や和食店で修業を積んだとか。そして、今から3年前に手打ちそばの店をオープン…。

で、ある時に、そばつゆのもととなる“カエシ”&ダシと、ラーメンのタレ&スープの構成が似ていることに気づき、独学でラーメン作りに取り組み、昼はそば店、夜はラーメン店の二毛作展開を2017年2月から開始した。と、いうのが事前情報だ。

前段が長くなったが、ラーメンのスープを欲する渇いたのどを鳴らしながら、店の扉を開くと、想像していたそば店の店内ではなく、清潔感のあるおしゃれな洋食店のような雰囲気の店だった。先客は、男性サラリーマンが1人、カウンターに着席されていた。

入ってすぐ、物腰の柔らかそうな店主、渡辺浩亘さんから「いらっしゃいませ!」の一言が。この落ち着いた雰囲気、嫌いじゃないです。

さて、何を食べるか。メニューには、醤油と塩が載っている。塩も捨てがたいが、まーちんさんの「オモシロいカエシ…」の言葉を信じ、醤油を選択。どうやら先客も醤油を注文したようだった。

スマホでSNSなどをチェックしながら待つこと数分、ストレスなく「ソバ屋の三年熟成醤油ラーメン」(750円)が、そば店らしくお盆にのって丁寧に運ばれてきた。

そばつゆを連想させる濃い色をしたスープ、そして結構大ぶりな豚バラ肉、鶏ムネ肉が目に飛び込んでくる。これで、750円とは、コスパ良すぎと、食べる前から期待値が高まった。

店内の黒板にも書いてあったが、カエシは“幻の醤油”と呼ばれる広島の3年熟成再仕込み醤油をメインに、3種の醤油をブレンド。スープは無化調で、昆布、煮干し、秋刀魚節、アサリの魚介スープと、丸鶏、鶏ガラの動物系スープを加えたWスープ。

そして、スープを一口含んでみたが、芳醇な醤油の味と香りが、じんわりとしみてきた。全粒粉入りの麺は、そばのような細麺タイプなのでのど越しもよく、とても食べやすく、具材もスープも、どれもそば店らしい丁寧さが感じられた。気が付けば、スープを飲み干した全汁の丼が目の前に。

ラーメンWalkerの特集でもカエシを扱ったが、近年、醤油メーカーとコラボしたオリジナル醤油を使う店や、何社ものメーカーを試して理想の醤油に辿り着く店など、ラーメン店のカエシへのこだわりはますます高まっている。

そこで、掲載許可と企画の趣旨説明のため、店主の渡辺さんに電話。カエシへのこだわりを聞くと、「カエシの難しさは毎日、味や風味が変わるので出汁やスープとのバランスを考慮しての微調整だと感じています。難しいけどすごくおもしろい部分でもあります」と、語ってくれた。

また、「時間のない主婦の方々が手早く料理する為(しかし味は間違いない)の、様々な味のカエシを作り、“カエシのブランド”みたいなものを作るのも面白いかなと...」と、新たなチャレンジも考えているとか。

金曜の営業は、蕎麦を食べにくる常連客から、「平日の昼もラーメン食べたい‼️」という声が多数あったため昼もラーメンの提供をスタート。

そば店での経験があったからこそ、カエシの奥深さに気づき誕生した一杯。そのこだわりが、これからさらに進化していくことを予感させる。【関西ウォーカー編集部/赤井謙司】

■キッチンワタミヤ<住所:大阪市中央区内淡路町2-2-1 木村ビル1F 電話:06-6947-6117 時間:11:30〜14:00、18:00〜21:30※昼はそば店、夜はラーメン店、金土祝は終日ラーメン店となる 休み:日曜、祝日(不定休) 交通:京阪天満橋駅から徒歩10分>(関西ウォーカー・赤井謙司)