謎に包まれたインスタグラムのアルゴリズムを攻略するのは簡単ではないが、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group:以下、ABG)など各社は戦略を駆使して、プロモーション投稿を妨げるように設計されたこの厄介なインフラに対処している。インスタグラムはアルゴリズムの作用に関する詳細を公開していないが、ファッションや美容のマーケター間では、ユーザーのフィードにおける投稿の表示には、重要な要素が7つ絡んでいると一般に理解されている。エンゲージメントのレベル、関心に基づくユーザーとの関連度、ユーザーとアカウントのインタラクションの頻度、公開時刻、プロフィール検索、直接シェア、そして投稿1件あたりの閲覧時間だ。これらが合わさって、ある投稿をほかの投稿よりも高く評価する式を構成している。投稿は時系列ではなく、ユーザーごとにカスタマイズされた順序で掲載される。一方で、プロモーション投稿はインスタグラムでは排除されており、評価が低くなるので、時間が大事なセールやプロモーションコンテンツのシェアにインスタグラムは使いにくいという認識も、マーケターのあいだで共有されている。これに打ち勝つため、ABGは非公式に「サンドイッチング」と名づけたプロセスの活用をスタートさせた。手元のデータに基づいて、エンゲージメント率が高いと予想される画像のあいだにプロモーション投稿を挟む戦略だ。
「サンドイッチング」戦略の中身
ジューシー・クチュール(Juicy Couture)やエアロポステール (Aeropostale)など、ファンションや小売の29ブランドを傘下に持つABGでデジタルイノベーション担当バイスプレジデントを務めるアダム・クローネンゴールド氏によると、同氏のチームは、一部のインスタグラム投稿のエンゲージメントが著しく低いことに気がつき、この戦略のテストを開始したのだという。「『何でこれがオーディエンスの3%にしかリーチしていないんだ』という思いだった。次第に、プロモーション投稿を可能な限り多くの閲覧者に表示する戦略を構築できるようになった」と、同氏は語った。クローネンゴールド氏のチームは、もっとも効果的な投稿のリズムと戦略はブランドによって異なるものの、プロモーション投稿はほとんどの場合、(いいね!とコメントの数が多い)成績のよい投稿の翌日に投稿し、その翌日にエンゲージメントの高い投稿をさらにもう1件続けると、結果が一番よくなることに気がついた。たとえば、ABGは遺作ブランドとしてエルビス・プレスリーのライセンス権を持っており、インスタグラムの公式ページを運営している。そのABGが、インスタグラム戦略の初期のテストでサンドイッチングの手法を使うと、プロモーション投稿は120万人にリーチ。次のプロモーション投稿でこの戦術を使わなかったところ、50万人と、リーチの数が半分以下になった。サンドイッチング戦略を使って共有したプロモーション投稿の例Elvis Presleyさん(@elvis)がシェアした投稿 - 2017 4月 5 6:38午前 PDT