[画像] TikTok アカウントを一本化したUber 。狙いはコンテンツクリエイターとの連携

この1年半、Uberは配車サービス、Uber Eatsなど、さまざまなサービスのTikTokアカウントでクリエイターと連携してきた。

しかし、Uberはこれらのブランドを1つのTikTokアカウントに集約し、プラットフォーム上で一貫したブランドイメージを構築することで、メッセージの発信方法を微調整しようとしている。

そのため、Uberはインフルエンサーマーケティングプラットフォームのグリン(Grin)と手を組むことにした。このパートナーシップの金銭的な詳細は明らかにされていない。

ストーリーをまとめ、アプローチを統一



UberのグローバルソーシャルメディアリードとしてTikTokを担当するフィル・ロザリオ氏は「ストーリーを1つのライフスタイルストーリーにまとめることで、人々がさまざまな形で共感できるようになると考えた」と説明する。「Uberを利用することは、車でどこかに行ったり、Uber Eatsで何かを注文したりするだけではないということだ。Uberがあれば、どこにでも行くことができるし、何でも手に入るというコンセプトに、人々が共感できるようにすることを目指している」。

アプローチを統一するだけでなく、細分化が進むソーシャル環境において、コンテンツクリエイターとのコラボレーションを通じて多様なオーディエンスとつながる手段として、UberはTikTokを活用している。

有名人や著名人、インフルエンサーを雇うのではなく、Uberはコンテンツクリエイターと組むことを選択したとロザリオ氏は述べている。そうすることで、ブランドがクリエイティブプロセスを社内でコントロールできる。Uberは現在、コメディー、フード、旅行など、さまざまなニッチに特化した10人のコンテンツクリエイターと提携している。彼らが受け取っている報酬は不明だ。

直接クリエイターとコミュニケーションをとる



ロザリオ氏はコンテンツクリエイターとしての自身の経験をクリエイターへのアプローチに生かしている。エージェンシーや法務部門を経由するのではなく、同氏はクリエイターと直接コミュニケーションを取っている。Uberはクリエイターを過度に管理しないことで、TikTokを深く知るクリエイターとより協力的に、オーガニックなコンテンツ制作を育もうとしている。

ロザリオ氏はUberとクリエイターのコラボレーションの例として、Uber Eatsのバッグを持って出掛ける動画、ダンプリングを試食する動画、Uber Eatsのプラットフォームを利用する世界中のローカルな小規模のレストランにスポットライトを当てた動画を紹介してくれた。

「48時間後には終わっているかもしれないトレンドが発生したとき、クリエイターと直接やりとりし、スケジュールは空いているか、そのトレンドに関連する動画を制作してくれるかを確認することが重要だ」とロザリオ氏は話す。

ソーシャルインテリジェンスプラットフォームのブランドウォッチ(Brandwatch)によれば、この戦略を取った結果、UberのTikTokアカウントのフォロワーは9月に85万人を突破した。Uberは2022年6月にTikTokに参入し、1カ月後にはフォロワーが15万人を超えていた。また、ブランドウォッチのデータによれば、Uberのオーガニック動画コンテンツは3500万回以上再生され、370万の「いいね」を獲得している。

スターではなく、マイクロインフルエンサーと関わる



ロザリオ氏は詳細を明かさなかったため、Uberの広告予算がこれらの取り組みにどれくらい割り当てられているかは不明だ。パスマティック(Pathmatics)からの有料ソーシャルデータを含むビビックス(Vivvix)のデータによれば、Uberが2023年に入ってから広告に費やした金額は9800万ドル(約147億4460万円)強で、2022年の1億8400万ドル(約276億8370万円)から減少している。同じデータによれば、2023年は広告予算の大部分が、ソーシャルメディアアプリのFacebook、インスタグラム、XとデジタルOOHに割り当てられているようだ。

広告エージェンシー、ヒューズ・クリエイト(Fuse Create)のクリエイティブストラテジスト、マディソン・ロジャース氏は、UberのTikTok戦略には、最も効果的なコンテンツタイプを特定するための体系的な実験が含まれていると述べている。ロジャース氏によれば、この戦略の特徴は継続的なテスト、学習、適応であり、他とは異なる魅力的なものへとコンテンツを改良できる。

「全体的な認知度を高めてくれるTikTokのスターだけでなく、よりニッチで熱心なオーディエンスを持つマイクロインフルエンサーと関わるという戦略だ」とロジャース氏は話す。「インフルエンサーの顔触れを充実させることで、さまざまなカテゴリーのオーディエンスが自分の声を聞いてくれると感じ、コンテンツのフィードを多様で豊かなものに見せることができる」

[原文:Inside Uber’s strategy with content creators to amplify its organic TikTok following]

Julian Cannon(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:分島翔平)