2017年10月25日〜11月5日まで開催される第45回東京モーターショー2017では、主要な自動車メーカーだけでなく、タイヤなど部品メーカーも出展しています。ドイツのタイヤメーカー「コンチネンタルタイヤ」では、走行中に幅や扁平率を変更できる可変ホイールとタイヤのコンセプトモデル「ContiAdapt」などを展示しています。

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すでにホイール内にセンサーなどを仕込んで空気圧などの状態をチェック、モニターできる技術は実用化されているのだそうですが、「ContiAdapt」ではさらに進んでホイールにコンプレッサーを内蔵。自動で適切な空気圧に設定することができるとしています。



さらにホイールを2つのパーツで構成し、リム幅を自在に変更できる機構を備えます。これにより、静止時はもちろん、走行中であっても路面状態に応じて形状(幅や扁平率など)を変化させることができるとしています。コンチネンタルタイヤでは、タイヤは車と路面をつなぐ重要な部品と考えています。高速に回転するタイヤは路面の状態や空気圧などの環境に応じて性能も変化し、グリップや安定性だけでなく安全性にも大きな影響を与える重要な役割を担っている。EV化などで動力が変わったりすることがあってもしばらくはタイヤの役割は変わらないと考えているので、タイヤにできることが他にないかと考えた結果今回のコンセプトモデルになったと言います。



動画では数十秒で最大から最小までの変化が行われますが、実際の走行中では1〜2分くらいをかけてゆっくりと変形するということです。幅を変えるメリット、必要性としては、大雨で道路が冠水している場合などに、幅を細くすることでハイドロプレーニング現象(タイヤと路面の間に水が入り込み、車が水の上を滑るようになりハンドルやブレーキが利かなくなる現象)を起こしにくくします。

また、最大まで幅を広くすると、雪道などでスタックした時に脱出しやすくなるということで、一本のタイヤで用途に応じて性質を変化させることができるのがメリットということです。その他、最小の燃費で走行できるエコモード、乗り心地を追求したコンフォートモードなどがデモとして用意されていました。



幅を最大にした状態。設置面積も最大となり、車重を均等に支えると同時に摩擦係数も増やしてスリップしにくくなります。



最小幅にした状態。細くなることで設置面積も少なくなり、冠水状態でも確実に路面に到達するようになります。

コンセプトモデルでは、変化の幅もスピードも大きくしていますが、実際の製品として市場に投入される際には、ゆっくり変化して変化の幅も少なくなるだろうということです。車検などの規制や制度に適合するべく、認証団体にも働きかけを行うなど、製品化に向けて各方面に努力をしているということです。

重量は、コンセプトモデルで同社通常ホールより5kgほど増となっており、製品化の際は2.5kgほどの増に止めたいとしています。重量増による燃費の悪化とエコモードによる燃費の改善の差し引きに関しても、当然のことながら燃費がよくなることを目指して鋭意開発中ということです。



その他コンチネンタルでは、電動の過給器や24Vのスターター、オルタネータなども展示していました。
電動の過給器は、ターボチャージャーやスーパーチャージャーと比較して、小型で高効率なエンジン性能を実現します。ターボチャージャーは、排気ガスをタービンで回して過給器に使用するのでラグが生じます。また、スーパーチャージャーは、エンジンの回転をカムやギヤで伝えて過給器を回すので機構が複雑になり重量増や故障のしやすさ、ひいてはコスト増にもつながります。電動で過給することで、立ち上がりから過給が効くので小排気量のエンジンでも踏み込み始めからパワフルな出力が得られるなど、エンジンの小型化、小排気量化に貢献するとしています。



スターター、オルタネータは、アイドリングストップ、駐車時などのエンジンを使用しないシーンでもちょっとした車両の移動に使える性能を持ちます。自動車庫入れ機能などの際に、エンジンを使用せずモーターだけで行うことで、燃費にも貢献することが期待されます。