マイアミ地元紙が特集記事「イチローはチームが去ってからも球場にやってくる」

 マーリンズのイチロー外野手がメジャー17年目のシーズンを戦い終えてから、約3週間が過ぎた。元ヤンキースのスーパースター、デレク・ジーター氏らのオーナーグループが球団を買収したことで、去就が不透明な状況となっている中、22日に44歳となる大ベテランは黙々とトレーニングを続けている。地元紙「マイアミ・ヘラルド」が、特集している。

 イチローと言えば、オフでも休むことなくトレーニングを続けることで知られる。その圧倒的な練習量が偉大なキャリアを支え、メジャー歴代22位の通算3080安打、日米通算では“世界一”の4358安打をマーク。その他にも、イチローの記録を列挙していけばキリがないほどだ。43歳にして去就が不透明でも、その“流儀”は変わらない。

 同紙は「まもなく44歳のイチローはチームが去ってからも球場にやってくる」とのタイトルで特集記事を組み、本拠地マーリンズ・パークでトレーニングを続けるイチローの様子について伝えている。シーズン後、すべての選手が故郷に帰る中、イチローだけが球場にやってきて、体を動かし続けているというのだ。

「殿堂入りを確実視されているイチローは、今もマーリンズ・パークで日々のワークアウトを行っている。彼は唯一無二の存在だ。彼は毎オフシーズン、これを続けている」

 このように言及した記事の中では、通訳を介して取材に応じた本人のコメントも紹介。「一度休みをとってみようとしました。それが助けになるか確かめようと、1か月ワークアウトを行いませんでした。すると、自分の体のように感じなくなってしまいました。体があたかも病気のように」。同紙によると、「これは2005年の話」だという。

来季の去就は不透明「マーリンズの決断がどうなるかはわからない」

 イチローは今季も「メジャー最強の外野トリオ」を支える4番手外野手としてプレー。だが、59本塁打を放つなど歴史的なシーズンを送ったスタントンだけでなく、オズナ、イエリッチも好調だったため、出場機会は昨年から減った。その一方で、“代打の切り札”として新境地を開拓。代打安打27本はこれまでの球団記録を上回り、メジャー記録にもあと1と迫る数字だった。

 マーリンズはイチローとの契約延長オプションを保有している。しかし、オーナー体制が変わったことで、これが行使されるかは全くわからない状況となってきた。同紙も「マーリンズは来季(契約)オプションを保有しており、ワールドシリーズ終了の4日後までに決断しなければならない。新経営陣となったマーリンズの決断がどうなるかはわからない」と言及している。

 では、本人の思いはどうなのか。マーリンズでは、チームメートと強固な信頼関係を築いている。若手選手はレジェンドに敬意を抱き、イチロー自身も同僚への“愛情”をことあるごとに明かしている。マーリンズが契約延長オプションを行使することが、理想的な形となるだろう。

 イチローは「もしチームに必要とされれば、まだプレーできます。もしそうでなければ、自分ではまだプレーを続けられると思っていても、プレーする場所がなくなってしまいます」と率直な思いを明かしている。同紙は、「金銭的なことは問題ない」と説明し、本人が「僕のゴールは数字とは関係のないことです。自身がプレーできる最も高いレベルに挑戦したい。ゆえに、これは自分自身との戦いなのです」とも話していたことに言及している。

 44歳となる男はこのオフ、週6日のペースで球場に来ているという。来ていない1日は日曜日。その理由は球場が閉まっているから。「なんで休みたがるかわかりませんね」「やらなければいけない、から続けているのではなく、自分がやりたいと思うからやっているのです」「自分にとっては楽しいですし、ここに来たいと思うから続けています」。練習は日課。同紙も「彼は歩みを止めない」と表現している。“努力の天才”は、休む気などさらさらないようだ。

 取材に対して「年齢が問題ではないということを証明したいのかもしれません」とも明かしているイチロー。「50歳まで現役」を目標とする安打製造機のゴールはまだまだ先。来季へ向けての準備を怠ることはない。(Full-Count編集部)