打席で“魂の押し出し”を選び、雄たけび&バット投げ…気迫に米メディア賛辞

 米大リーグのナ・リーグ優勝決定シリーズは17日(日本時間18日)、ドジャースダルビッシュ有投手が敵地カブス第3戦に先発。6回1/3を1失点でポストシーズン2勝目。打席では6回に2死満塁から押し出し四球を選んだ。再三、バントの構えを見せるなど、揺さぶり、最後は野手顔負けの“バット投げ”も披露。現地メディアが動画付きで紹介すると、米有力紙「ニューヨークタイムズ」は「支配的なアウト奪取とバットフリップでカブスを混乱に陥れた」と脚光を当てている。

 普段はお目にかかれないシーンだった。3-1で迎えた6回2死満塁。ダルビッシュは打席に立つと「9人目の打者」として揺さぶった。簡単にはストライクを入れさせまいとバントの構えを敢行。対峙したエドワーズ・ジュニアは抑えて当たり前の投手に対して力み、コントロールを失った。

 3球連続で直球が高めに浮いた。カウント3-0。不穏な空気がカブス本拠地に漂う中、最後もバントの構えを咄嗟に引いて揺さぶったダルビッシュ。ど真ん中に構えていた捕手のミットは外角低めで捕球したが、球審の右腕は上がらず。なんと1球もストライクが入らず、押し出し四球を選んだ。

 執念で押し出しを勝ち取ったダルビッシュに思わず、感情が高ぶった。四球となった瞬間、右手でガッツポーズ。さらに雄たけびを上げると、歩き出した際にバットをグラウンドに叩きつけた。野手顔負けの“バット投げ”で感情を高ぶらせた。投げても7回途中1失点の快投でワールドシリーズ進出に王手。マウンド、打席とそれぞれで躍動した右腕を米メディアも絶賛した。

マウンド、打席で魅せた気迫…女房役も絶賛「彼はアンビリーバブルな存在だ」

 ニューヨーク・タイムズは「ドジャースのユウ・ダルビッシュは支配的なアウト奪取とバットフリップでカブスを混乱に陥れた」と投球とともに打席で見せた気迫に賛辞を送った。

「ダルビッシュの投球はこのポストシーズンは普段以上に素晴らしい」と評した上で、捕手のバーンズが「彼はアンビリーバブルな存在だ」と絶賛したことを紹介。さらに、記事では「さらにダルビッシュは攻撃でもドジャースを助けた。ダルビッシュはバットを投げ、一塁へ歩いた」と執念で奪った押し出しに拍手を送っている。

 ポストシーズンで投手が押し出しを選んだのは実に40年ぶりという快挙。ドジャースも公式ツイッターでバットをぶん投げた動画とともに「やってくれるぜ、ユウ」と祝福し、ド軍ファンも「プイグのホームランの後よりもド派手だ」と大興奮を呼んでいた。

 勝利への執念をマウンドで、打席で示した背番号21。今季途中に加入した右腕によって、ドジャースはワールドシリーズ進出にあと1勝に迫った。