もくじ

はじめに
ー 「困難だからこそ挑戦するのだ」

1日目
ー 日産サンダーランド工場へ
ー JLRヘイルウッド工場へ
ー ヴォグゾールにも少しだけ
ー ベンテイガはアルナージを想起?

2日目
ー ベンテイガ、まさかのジャガーと見間違え
ー アストン マーティンのゲイドン工場へ
ー モーガン 文字通り「工場」へ
ー ホンダ→ミニ それぞれに個性

2日目

ベンテイガ、まさかのジャガーと見間違え

2日目はキャッスル・ブロムウィッチにあるジャガーの工場で早朝の光のなか始まった。

われわれは全車種、つまりXE、XF、XFスポーツブレーク、XJ、XJロングホイールベース版、そしてF-タイプの全てを並べることができた。しかし、この工場では脚立は使用禁止のようだ。先に言ってほしい。

第二次世界大戦中、クルーで製造されたマーリンエンジンはその多くがここへ運ばれ、工場で組み立てられたスピットファイアに組み込まれていった。

戦後、工場はミッドランドの自動車工場向けにボディパネルの製作を行っていたプレスト・スチールに引き継がれたのち、1977年にジャガーが経営権を取得した。

キャッスル・ブロムウィッチが忙しいなら、ソリハルはどうだろう? 生産量では日産の勝利かもしれないが、ロード・レーンにある巨大なランドローバーの工場は、その大きさと活気の面で最も強い印象を残してくれた。

最近£20億(2964億円)をかけて生産能力の拡大を行ったばかりで業績は好調である。最終検査エリアでわれわれのために準備された赤、白、青の車両は、ここで生産されるものの全てを表している。

しかしわれわれの出発は若干の混乱を招いてしまったようだ。入場したのとは違うゲートから出て行ったことで、早とちりなガードマンがわれわれがここで作られたクルマを1台盗み出そうとしていると勘違いしてしまったのだ。

ガードマンはわれわれのベントレーがピカピカのレンジローバーではないことに気付くまで、われわれに停止するよう指示をしてきた。彼はバーミンガム訛りの鼻声で同僚のガードマンに叫んだ。「心配しなくていいぞ! 新型のジャガーみたいだ!」

なんてこった。

アストン マーティンのゲイドン工場へ

アストン マーティンのゲイドン工場で再び停車して、われわれはベンテイガをCEOであるアンディ・パーマーの個人用駐車スペースに停車させた。後でクレームを受けるかもしれない。

最近のアストン マーティンの黒字化とDB11の発表は、このスポーツカーメーカーに新たな自信をもたらした。またこのツアーを行うとしたら、次はウェールズにある新しいセント・アサンの工場まで足を延ばすことになるかもしれない。

オーストラリアからの団体客(その中には本誌を1948年から集めている変わり者もいた)同様、われわれの興味も既に十分高まっていた。(写真に掲載したヴァンキッシュSはわれわれの長期テスト車であり、読者諸兄には既に馴染み深い車両かもしれない)

しかしわれわれの次の目的地ほどツーリスト向けの自動車工場は無いだろう。

モーガン 文字通り「工場」へ

マルヴァーンのピッカースレイ・ロードにあるモーガンの工場はまるで自動車工場の生きた博物館である。途切れることのない観光客が広い工場内を歩き廻り、以前と何ら変わることのないやり方でクルマをつくっている作業場を見学するのだ。

スリーホイラーの売り上げは落ち込んでおり、高級モデルであるエアロ8が売り上げに占める割合も小さなものだが、クラシックモデルの人気は依然として高く、生産台数のうち70%は輸出されている。

さて、本日の残り2カ所で大規模工場の訪問は最後となる。マルヴァーンからスウィンドンへ向かう交通量の少ないM5とA419号線で、われわれのベンテイガはその航続距離を伸ばしてみせた。

コーナーやラウンダバウトではその重量を意識させられるものの、これほど巨大にも関わらず、その動きには敏捷性が感じられる。

一方、アクセルを離してコースティングモードに切り替われば、文字通り滑るように前進する。ギアをマニュアルモードで8速に固定して過給の立上りを試してみたが、わずか1500rpmからでも過給遅れは無く、ベンテイガはスムーズに回転を上げていった。

ホンダ→ミニ それぞれに個性

ホンダのスウィンドン工場には禅の雰囲気が漂っていた。ラインの新人作業員から工場長までが同じ真っ白なオーバーオールに身を包んでいるのだ。工場の前には高さの異なるオークの木が並んでいる。記念すべき出来事がある度に植樹されるそうだ。

オックスフォードのミニの工場は48km離れたところにあり、明らかに古く、中には1世紀前のモーリス・マイナー時代に遡れるものまでありそうだ。

しかしこの工場もまた、その生産能力は巨大である。昨年の生産台数は21万台に達する。この工場にも見学ツアーとミュージアムが設置されている。この工場は世界で唯一自身のインスタグラムアカウントを持っている工場でもある。

3日目につづく。