「ドヤ顔で話すんだけど、なんか伝わらないんだよなぁ」という人が押さえていない基本中の基本を解説します。(写真:xiangtao / PIXTA)

ゆっくり考えてアウトプットする余裕がない…

報告、会議、プレゼン、講演――。

日々のビジネスシーンにおいては、みずからの言葉でアウトプットする場面が多々あります。そのクオリティが仕事のクオリティを決めているといっても過言ではありません。

ただ、いつも準備万端の状態でアウトプットできるとは限りません。まだ頭の中が整理できていない状態で発言しなければならなかったり、考えがまとまっていない状態でしゃべりださなければならなかったり。考える余裕がない中で、いかに、的確に、端的に、相手にわかりやすくアウトプットしていくか。ビジネススキルにおいて非常に重要なポイントになります。

思考フレームを使って1秒で答えを導く!

私が運営するモチベーション&コミュケーションスクールでは、毎日、全国でたくさん受講生が伝わる話し方のトレーニングをしています。拙著『10秒でズバッと伝わる話し方』でも詳しく解説していますが、過去1万人の受講者生の中からつくりだした最も効果的なメソッドがあります。

それが「思考フレーム」というメソッドです。

思考フレームとは、事前に頭の中に枠(フレーム)を用意しておくことを意味します。

会議で何か発言するときを想像してください。上司に「〇〇君、この商品どう思う?」と突然聞かれたとします。

頭の中に何もフレームがない状態で突然聞かれたとしたら、

「え!……私ですか、私は〜、なんていうか〜、その〜、いい商品だとは思います……なんかすごく品質がいいみたいで……ISO国際品質基準も満たしているとかで……」

聞かれてから頭の中を整理しなければならないので、アウトプットに非常に時間がかかります。

しかし、頭の中に、結論>理由>詳細というフレームがあったらどうでしょうか?

上司:「〇〇君、この商品どう思う?」

部下:「(結論)いい商品だと思います。(理由)この製品は品質のクオリティが非常に高いです。(詳細)これらの商材でISO国際品質基準を取得したのはこの商品だけです」

非常に簡潔だと思います。このように、結論>理由>詳細というフレームをあらかじめ用意しておき、目の前の材料をそのフレームに流し込んでいくという手法、これが思考フレームです。

会議で発言する機会が多い人は、結論>理由>詳細という思考フレームを普段から徹底的にトレーニングしておけば、すっと答えが導けるようになります。

何か悪い報告をしなければならないときは?

では、何か悪い報告(未達成の報告・進捗が悪いもの)をしなければいけないとは、どんな思考フレームが必要でしょうか?

たとえば、

上司:「〇〇君、A社にB社を紹介してもらう件、どうなってる?」と、突然聞かれたとします。

何も思考フレームがなければ、

部下:「あ〜、B社を紹介してもらう件ですよね……あれはですね〜、まだ進捗させることができてなくて……というか……全然A社の担当者が全然時間が取れないみたいで、B社までまだたどり着いてないんですが……今度、B社に直接コンタクトをとってみようかと思っておりまして……」

と長い説明になってしまいます。

こういった悪い報告をする際は、結果>原因>対策というフレームがあります。

上司:「〇〇君、A社にB社を紹介してもらう件、どうなっている?」

部下:「(結果)まだB社の紹介はいただけていません。(原因)A社の担当が相当忙しいようで会えておりません。(対策)よってB社に直接コンタクトを取ろうと思っています」

このような報告が多い人は、徹底的に、結果>原因>対策という思考フレームを普段からトレーニングしておくと、その場ですぐに回答が導けます。

私のスクールに来る人とお話ししていると、使用する思考フレームは、100も200も必要なく、大体その方がよく使われる思考フレームは3か4つ程度で比較的少ないです。

つまり使うフレームは職種に応じて定番化されているということです。であれば、自分にはどんな思考フレームが必要なのか? 3つか4つ用意して、あとはそれを徹底的に反復すれば、反射的に思考フレームが使えるようになります。

自転車だって、最初は何回も転ぶけど最終的にはいつでも乗りこなせるようになります。ギターだって、何度も練習すれば、譜面を見ずに弾けるようになります。反復したものは無意識レベルで使いこなせるようになるのです。

ポイントを説明する場合は

ポイントをよく説明する機会がある人には、

説明:1点目>2点目>3点目

というフレームがとても有名です。

よく下記のような話を聞いたことがありませんか?

(例)「この商品のよさは3点あります。1点目は〇〇です。2点目は〇〇です。3点目は〇〇です。」

提案書を作成する機会が多い人は、

提案書:Goal>How>Step

GHSというフレームが有効です。まず冒頭に、Goal(話のゴール・結論)を描き、How(どうやってそれを実現するのか・方法)を設定し、Step(実現していくための段取り、詳細)を記載するという流れです。

(例)残業時間が長いことが問題になっており、その解決策を提案するケース。
Goal:残業時間を半減させる。
How:会議の時間を半減させる。
Step:
1)会議時間を60分→30分に変更する。
2)会議は1人1日1回までとする。
3)会議資料は事前に共有する。

というような流れでパワーポイントを記載します。おそらくこれならパワーポイント1枚で収まります。

問題解決を求められることが多い人は、

問題解決:事実>仮説>主張

というフレームが便利です。(事実)こういう事実が起きている、(仮説)それはこういうことが考えられる、だからこうすべきだ(主張)。こういった流れです。

(例)温暖化問題を解決する場合、
事実:30度が3カ月以上続いている。
仮説:温暖化が進んでいると思われる。
主張:家庭でもできる省エネ対策を推進すべきだ。

というようなフレームになります。

どの世界にもうまくいくフレームがある


落語の世界でも、「まくら」といわれる導入部分と、「本文」といわれる物語の部分と、最後は「おち」という、まくら>本文>おちというフレームがあります。

大学教員が書く論文は、大体が序論>本論>結論というフレームになっています。

何にでも、うまくいくには、うまくいくフレーム(型やパターンが)存在しています。

みなさんが必要とする思考フレームはどのようなものでしょうか?

自分に必要な思考フレームを用意して、何度も練習すれば、紙やペンはなくても、その場で瞬間的に話の構成を組み立てられるようになるはずです。

〇主な思考フレーム例を最後にまとめておきます
1.会議での発言……結論>理由>詳細
2.報告……結果>原因>対策
3.説明……1点目>2点目>3点目 
4.提案書……Goal>How>Step 
5.問題解決……事実>仮説>主張