東京メトロの表参道駅は、その名の通り明治神宮の「表参道」にちなむ駅名ですが、じつは、明治神宮には「裏参道」も存在します。それはどこにあり、開通当時はどのような姿だったのでしょうか。

「裏参道」は正式には「内外苑連絡道路」

 東京メトロ銀座線、半蔵門線、千代田線の表参道駅(東京都港区)は、その名の通り明治神宮の「表参道」にちなむ名前です。国道246号「青山通り」からJR原宿駅付近を経て、明治神宮に通じる「表参道」(都道413号)には洋服店などが立ち並び、多くの人でにぎわいます。


山手線の代々木〜原宿間にある「裏参道ガード」。線路をくぐる道路が「裏参道」(2017年8月、中島洋平撮影)。

 一方、明治神宮に近い山手線・代々木〜原宿間の高架下には「裏参道ガード」という名のプレートが見られます。どうやら「表」だけでなく、「裏」の参道も存在するようです。「裏参道」について、明治神宮に聞きました。

――「表参道」「裏参道」は本来、どこからどこまでを指すのでしょうか

「表参道」は、青山六丁目(現・表参道駅付近。開業当時の表参道駅は「青山六丁目駅」を名乗っていた)から、(JR原宿駅前の)神宮橋を経て、(社殿のある)内苑の南参道までを指します。一方「裏参道」は、内苑の北参道入口から、現在のJR千駄ケ谷駅前を経て、外苑の西北隅までを連結する道で、正式には「内外苑連絡道路」といいます。

乗馬道もあった「裏参道」、往時の面影は?

――「裏参道」はどのような道なのでしょうか?

 できた当初は、車道と歩道のほか、遊歩道と乗馬道からなる全長約1.2kmの道路で、植樹帯も設けられていました。幅員は区間によっても異なりますが、外苑から千駄ケ谷駅までは平均で30間(約54.5m)、車道部分だけで6間(約11m)でした。

――乗馬道などは現在では見られませんが、どうなったのでしょうか?

 首都高4号新宿線(1964年開通)の建設にともない、乗馬道がその敷地として転用されています。


明治神宮の「裏参道」である都道414号。左側の高架が首都高4号新宿線(2017年8月、中島洋平撮影)。

「裏参道」は明治神宮内苑の北参道鳥居に通じる(2017年8月、中島洋平撮影)。

開通当時の「裏参道」概念図。車道の幅は約11m、乗馬道は約7.3mで、歩道や遊歩道は場所により幅が異なった(乗りものニュース編集部作成)。

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 明治天皇と昭憲皇太后を祀る明治神宮は1920(大正9)年の創建。神社本殿のある内苑と、聖徳記念絵画館や明治記念館、明治神宮野球場(神宮球場)などがある洋風庭園の外苑からなり、その両苑をつなぐ道路として「裏参道」こと「内外苑連絡道路」がつくられたそうです。

 この「裏参道」の大部分は現在、都道414号となっていますが、道路上の案内標識などに「裏参道」の文字は見られず、かつて乗馬道だったという首都高4号線の高架下は、駐車場などになっています。

 ちなみに、「裏参道」に近い場所には、東京メトロ副都心線の北参道駅(東京都渋谷区)がありますが、「北参道」は内苑の、「裏参道」に通じる参道の呼び名です。

【地図】表参道、裏参道の位置


「裏参道」は明治神宮の内苑と外苑を結ぶ(国土地理院の地図を加工)。