ウイスキーをソーダで割ったお酒ハイボール」。アルコール度数の高いウイスキーが飲みやすくなるお酒として近年、すっかり定着しており、居酒屋へ行くと「とりあえずハイボール」の人も増えています。しかし、そもそもなぜ、ウイスキーのソーダ割りはハイボールと呼ばれるのでしょうか。

 オトナンサー編集部では、サントリーホールディングス(HD)広報部の長門祐也さんに聞きました。

「ゴルフ場説」と「ボール信号機説」

 長門さんによると、ハイボールという名前の由来には諸説がありますが、有力なものは以下の2つです。

【スコットランドのゴルフ場説】 

 スコットランドのゴルフ場で、当時珍しかったウイスキーのソーダ割りを飲んでいた英国紳士がマスターにこの飲み物の名前を尋ねていたところ、高々と打ち上げられたゴルフボールが飛んできて、マスターが思わず「ハイ・ボール(高い球)だ!」と言ったものが、そのまま定着したという説。

【米国の鉄道のボール信号機説】

 19世紀米国の鉄道では、長い棒にボールを吊るした「ボール信号機」が使われていました。信号係がボールを上に高く掲げると「ハイ・ボール(進行)」、下げると「ロー・ボール(停止)」の意味でしたが、とある駅にウイスキーのソーダ割りを飲みながら仕事をしていた信号係がおり、出発のたびに「ハイ・ボール!」と叫んでいたことから、その飲み物もハイボールになったという説。

 ほかにも、ソーダから上昇する泡をボールに見立ててハイボールと呼んだという「ソーダの泡説」もあるそうです。

海外ではストレートかロックが一般的

 日本でハイボールといえばウイスキーのソーダ割りですが、長門さんによると、海外のハイボールは一般により広い意味があり、リキュールやスピリッツを炭酸飲料や水などで割ったもの全般を指す場合もあります。つまり、海外で日本のハイボールに相当するものが飲みたければ、バーボンやスコッチなどの銘柄を指定し「スコッチ・アンド・ソーダ」のように注文しなければなりません。

 なお、海外ではウイスキーをストレートかロックで飲むのがポピュラーで、日本のハイボールのように、ソーダ割りで飲む文化はあまりないそう。たとえば、ウイスキー製造が盛んなスコットランドでは割らずにそのまま飲むことが多いようです。

 ちなみに、日本の「ハイボールブーム」はサントリーが火付け役となり、低迷傾向にあったウイスキーの販売増を目指して、2008年頃から「サントリー角瓶」をソーダで割る飲み方の広報・宣伝活動に注力。その結果「とりあえずハイボール」が広く定着するまでになりました。

「ハイボールは爽快な味わいと、食中酒としての食事との相性の良さから多くのお客様に好評を頂いています。ハイボール市場は今後も成長を見込んでおり、より多くのお客様に『おいしいハイボール』を体感してもらう場の創出に努めてまいります」(長門さん)

(オトナンサー編集部)