こうした面接の非効率性を改善したい企業では「ウェブ面接」を導入している。

 タレンタ社では、従来のスカイプ面接にはない便利な機能を備えた「デジタル面接システムHireVue」を提供している。録画面接機能では、テキスト、動画、静止画像を組み合わせた質問が用意でき、回答は自撮り録画やテキストが選択できる。

 応募者はいつでもどこでも面接を受けられ、面接官も都合の良い時に録画を見ることができる。上位評価者は評価結果に疑問があれば録画を見直せる。 ライブ面接機能は、面接官3人まで同時対応している。応募者には見えない裏側で面接官同士のチャットができ、評価を確認しながら面接を進められる。

 採用力を強化するには採用担当者だけが頑張るのではなく、全社で人材採用に取り組むような社内の協力体制を作り上げていくことが肝心だ。 企業が求職者に直接アプローチするダイレクト・ソーシングに対する採用担当者の関心が高まっている。インテリジェンスでは、国内最大級115万人の登録者数を持つ人材データベース「DODA」を企業に提供し、採用担当者が最適な候補者を検索してスカウトメールを送信できるダイレクト・ソーシングサービス「DODA Recruiters」を開始している。

 「DODA」は経験業種・職種、年収水準、地域を網羅しているため多様な採用ニーズに対応でき、募集職種は無制限だ。採用担当者は「DODA」の登録者から経験職種、スキル、年収などで候補者を検索してスカウトメールを送り、応募後のやり取りもシステムで行える。サービス利用は基本料金のみで入社時の成功報酬が必要ないため、採用力が上がることによってコストパフォーマンスも高まる。
 
 ダイレクト・ソーシングを成功させるためには、採用担当者が求職者一人一人に適したスカウトメールを送るなど採用ノウハウを蓄積する必要があるため、同社では効果的なスカウトメールの書き方、レジュメの見方、面談・クロージング等の実践的な採用ノウハウが学べる「リクルーター・アカデミー」を採用担当者に無料で提供している。 社風に合った人材や最適な経験・スキルを持った人材の採用で効果が高いとして注目されているのが、社員やOBなどの紹介で採用する「リファラル採用」だ。

 このリファラル採用の管理ツール「GLOVER Refer(グラバー リファー)」をリクルートキャリアが提供しており、「マッチングや定着率の向上、ニッチなスキルを持つ人材の確保、人材の多様性の維持、採用コスト削減等がメリット」(中山好彦同社ビジネスディベロップメントスペシャリスト)だ。 リファラル採用を導入する際の課題は、応募経路が多様になり管理業務が複雑になることや協力社員の本来業務以外の手間が増えることなどがある。「GLOVER Refer」はこうした課題を解決するツールであり、人事、社員、応募者に専用画面を提供して、応募経路の一元化や協力社員の手間の軽減を図っている。社員の参加率、応募率、通過率、内定率などを把握でき、目標管理も容易だ。 主要求人サイトの求人広告掲載件数は前年を20%程度上回る水準となっており、企業の高水準な人材募集が続いているため、求人を出しても十分な応募者を集めることができない企業が増加している。

 世界最大級の求人検索サイト「Indeed」は、企業の採用ページや人材紹介・派遣会社のサイト、そして求人媒体サイトに載っている求人情報など、ウェブ上に存在する求人情報をクローリング技術によって集め、求職者に提供している。

 Indeed上で求職者が希望の職種・ 勤務地もしくは職歴にあったキーワードを入力するとマッチした求人が表示され、最適な仕事を見つけることができるという仕組み。特に既存の求人媒体では募集に苦労していた職種や地域における採用で効果を上げている。 Indeedの検索結果として表示される求人は、企業の採用ページに直接リンクしており、有料のスポンサー広告を利用すれば、関連するキーワードが検索されたときに求職者の目に留まりやすい露出度の高い位置に掲載させることができる。 スポンサー広告は求職者が広告をクリックしたときのみ料金が発生するクリック課金型で、クリックに対して支払う入札金額が高いほど求人が表示される可能性が高まる。 採用部門のマンパワーやノウハウ不足を支援するRPO(Recruitment Process Outsourcing、採用代行)サービスを、昨年2月から日本で本格的に開始したのが、総合人材サービス世界2位のランスタッドだ。 社内で採用担当を増員できない際や、より効率的に採用活動を実施したい場合に同社のリクルーターが採用担当の役割を担う。短期間で特定職種の採用ニーズを達成するなど、企業の実情に合わせて必要なサービス内容を依頼することができる。 同社のリクルーターはバイリンガルな上、アジアパシフィックにソーシングセンターを有しているためグローバルな募集も可能だ。世界70カ国以上で展開し培ってきたノウハウを活かせる。 小西智子同社RPO事業部長は「日本でのサービス開始当初は主に外資系企業を対象に取り組んできたが、最近は日系のグローバル企業からの問い合わせが増えている」と話している。 企業が求める人材を獲得するために、転職市場には出ていない潜在層へのアプローチやテクノロジーの発展により多様化する採用チャネルを活用していく必要性が高まっているため、同社では人材のリサーチ能力を強化し、ダイレクト・ソーシングにも取り組んでいる。 医療分野は再生医療、医療支援ロボット、新しいデバイスの活用、新製品開発などを強化する企業が多く、即戦力採用のニーズが強まっている。しかし、専門分野のニッチな人材採用は非常に難しい。 医療機器・製薬分野に特化して10年以上の実績があり、知名度も高いエリメントHRCは、コンサルタントの業界や職種に対する理解度の深さが強みで、求人企業と候補者双方から専門分野に関する深い内容をヒアリングすることができる。 結果として相性を十分に見極めるマッチングにつながり、大手の人材紹介会社とは違う「人が介在する人材紹介の価値を追求している」(狩野洋輔 同社社長)ことが特徴だ。 企業では事業計画を推進するためのスピーディーな採用が求められているため、コンサルタントが登録者と事前に面談を行って採用条件に合致する可能性がある候補者を複数集め、求人企業の採用責任者との面談会を実施するサービスも好評だ。 医療・介護分野の人材不足は深刻で、すでに社会問題化している。今後の急速な高齢化によって、クリニックや介護施設、在宅介護に携わる従事者の需要が一層高まってくるが、人材の移動が追い付いていない現状がある。 この分野に特化することで事業を拡大しているのがエス・エム・エスキャリアだ。看護師や医療・介護の専門職に対し人材紹介や求人広告などの転職支援サービスを提供し、医療・介護事業者と従事者をつなぐ役割として存在感を高めている。 医療・介護分野の人材サービス需要について、藤見広太同社取締役は「人材採用を成功させるには専門職特有のニーズを的確に把握してマッチングを図る必要があるため、人材紹介の重要性がより高まっている」と話す。 医療・介護分野で働く人には女性が多く、採用においては働く地域や家庭の事情などの細かなニーズを踏まえる必要ある。そのため、求人事業者の採用条件と求職者一人一人のキャリアの希望をマッチングできる人材紹介サービスが伸びている。