韓国では文在寅大統領が誕生し、経済の立て直しに大きな期待が寄せられている。製造業の復活も大きな焦点と言えそうだが、悠長に構えている暇はない。サムスンや現代自動車といった韓国を代表するブランドが、中国ブランドの波に呑み込まれようとしているのだ。

 中国メディア・今日頭条は26日、中国ブランドの猛追でサムスンや現代自動車が中国市場で大きな危機を迎えているとする韓国紙・中央日報電子版の25日付報道を伝えた。

 記事は、造船や鉄鋼、電気・電子、情報技術、半導体、自動車など韓国が誇りを持ってきた産業分野のいずれにおいても中国勢力が急速に台頭してきているとしたうえで、今年第1四半期にはサムスン製スマートフォンの中国市場シェアが3.1%と8位に転落し、中国メーカーに大きく抜かれたと紹介。同社の関係者が「会社は収益の新記録を作ったが、三年後の未来は闇だ」と嘆息したと伝えている。

 また、「自動車分野では韓国がまだリードしている、自動車には信頼度やブランド力が必要で、中国車はまだまだはるかに劣るなど、くれぐれも思ってはいけない。現代自動車は中国市場で中国ブランドによる打撃を受け、今年に入ってさらに薄氷を踏むような状態になっているのだ」とした。

 そして、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備による「反韓流」が中国ブランドにとって強烈な追い風に、現代自動車にとって激しい逆風になったことを紹介。「何とか力を振り絞っているが、短い期間で状況を打開するのは難しい状況だ」と説明した。

 記事は「今の中国における消費の主力は、改革開放実施後に社会に入った1960年代生まれ以降の世代。彼らには強い実用主義的傾向があり、愛国的な影響を受けやすい。状況を変えたいのであれば、まずは中国に対する認識を改めなければならない」としている。

 現在は政治的な要素が大きいかもしれないが、そればかりを理由にしていては今後も韓国ブランドは中国市場でのシェアを落とし続けることになるだろう。謙虚な姿勢で中国市場を研究し、中国人に買ってもらえる製品やサービスを提供しなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)