九州リーグから、Jリーグ入りを目指すテゲバジャーロ宮崎。今季の指揮官として迎えられた石崎信弘監督は、Jでも“昇格請負人”として名高い監督の一人である。前回のテゲバジャーロ宮崎社長・柳田和洋氏へのインタビューに続き、今回は新監督の「イシさん」にオファーを受けた経緯、チームの現在地やリーグの現状、そして目指すものについて話を聞いた。(インタビュー・写真:高浜確也)

▼地域リーグのチームに来たきっかけは……

――こちら(宮崎)に来られたのは、いつですか? ちなみに宮崎の印象はいかがでしょうか?

石崎 宮崎に来たのは1月の中旬です。宮崎はキャンプで何回か来ています。川崎フロンターレを率いていたときのキャンプは綾(町)でやっていましたし、山形(モンテディオ)のときはシーガイアのエントランス(現・宮崎市国際海浜エントランスプラザ)でした。大分でも監督をやっていましたので、何回か遠征に来ていますから、まったく知らない土地ではありません。

――J1、J2で指揮を執られてきた石崎監督が宮崎の、しかも九州リーグのチームからのオファーを受けられたことは驚きを持って迎えられました。その経緯から聞かせてください。

石崎 山形での仕事が終わって次を探していたところ、なかなか決まりそうなオファーがありませんでした。代理人とも相談をしながら、何件か話のあった中国に行こうかなと思っていたところに、こちらからのお話をいただきました。

――恐らくクラブの存在自体もご存知なかったかと思います。

石崎 知らなかったですねぇ(笑)。

――話を聞いて率直にいかがでしたか?

石崎 まず代理人から、テゲバジャーロというJリーグを目指しているチームがあるというお話を聞きました。その後、柳田さん(社長)やクラブのスポンサーの方にお会いする機会をいただきました。話をうかがって、クラブの本気度というのでしょうか。このチームを何とかしたいという気持ちが伝わってきましたので、それならばチャレンジしてみようかなと、オファーを受けることにしました。

僕自身はサッカーが好きで、指導者をずっとやっているのですが、Jリーグ(での指導)にこだわってはないです。いただける仕事があれば何でもやってみたいと思っています。実際に中国にも行きましたし、清水エスパルスや東京ヴェルディではコーチもやっています。中国に行って新しい発見がありましたし、コーチをやってみて違うことを見付けることもありました。監督だけだと分からない部分があるんですよ。いろんなことを経験したいという好奇心があるんです。やる気のあるチームでやりたいという思いはあったのですが、そういう中で話をうかがって面白そうだなと。

――スタジアムはもちろんクラブハウスもなく、練習場も転々とするなど、環境面はJに比べると良くないと思うのですが......。

石崎 僕の場合、過去にいろいろな経験をしていますから。最初に監督を始めたモンテディオの前身のNEC山形というチームではクラブハウスがなかったですし、スタッフもいない中、いろいろなグラウンドを借りながら練習をしていました。大分(トリニータ)も、今ではいろいろな施設がそろっていますが、僕が行った頃は何もない状況でやっていますので、まったく苦にならないですね。

――チームやリーグのグレードうんぬんよりは現場にいたいと。

石崎 サッカーには監督だけではなく、フロントや強化、アカデミーなどいろんな仕事があると思うのですが、現場でやりたい気持ちが強いんです。

――宮崎に来られて、実際に選手をご覧になっていかがでしたか?

石崎 正直、J1やJ2のレベルとはかなり落ちるところもあります。いまは午前中に練習をして、午後から仕事やアルバイトに行っている選手もいます。僕も子どもがいますから、親のことを考えると、ちゃんと就職したほうが良いんじゃないかと思うんですけど(笑)。