若年労働力の不足や労働力人口の減少で人材不足や人手不足はますます深刻になっている。こうした課題にさまざまな人材採用支援サービスを提供している老舗人材会社ディスコはどのように貢献していくのか。昨年、新社長に就任した新留正朗氏に企業の採用の課題や事業方針について聞いた。

1964年鹿児島県生まれ。同志社大学卒。1987年ディスコ入社、大阪支社採用広報営業部所属。1998年本社採用広報事業部営業第二課マネージャー、2005年本社リサーチ&マーケティング部長、2007年本社採用広報事業部事業部長、2009年本社IT推進部部長、2010年取締役を経て、2016 年10月代表取締役社長就任。 当社の主な事業領域は、新卒採用支援、中途採用支援、高校生向けの大学入試広報支援の3つで構成されています。この3事業に付随して大手企業を対象とした採用に関するアウトソーシングを受託しています。

 特に比重を置いているのは新卒採用事業で、昨年、これまで日経HRと共同運営していた日経就職ナビを発展させ、「キャリタス就活」という自社ブランドを新たに立ち上げて、より就活生の目線に立った就職情報サービスを開始しました。 インターンシップや企業研究、日経のニュースをはじめとする良質なコンテンツやイベントなど、さまざまな情報・体験の機会を通じて多くの優良な企業との出会いをサポートしています。

 このほか、企業のリアルな魅力をダイレクトに伝える就職イベント「キャリタス就活フォーラム」、学生のキャリアを共に考えて就職先の企業を紹介する「キャリタス就活エージェント」、企業の求人票やインターンシップ情報を大学サイトに公開するオリジナルのクラウドサービス「キャリタスUC」を立ち上げ、大学のキャリアセンターから企業への就職まで、一気通貫の新卒採用事業としてサービスを強化したところです。 リーマン・ショックの時は、大手・中小を問わず、企業は新卒採用を大幅に抑制しました。そのため、若手の人材が極端に薄くなり、これを補充する動きが活発になっています。

 特に最近は景気が上向いたこともあり、採用意欲は非常に旺盛です。仮に2020年の東京五輪・パラリンピック後に景気が多少悪化したとしても、人口動態では少子化がさらに進行していますので、若年者人口が少なくなっているという構造的な問題から若い人材が採用し難い環境はこれからも続くと考えています。 当社は大学の入試広報支援も事業としていますが、18歳人口は減少傾向で、今後、大学を卒業する人材は減少していくことになります。

 新卒採用では企業のより効果的な採用への要望が今後も続き、中途採用では優秀な人材の奪い合いとなり人材の流動化が進行していく傾向に人材市場は進んでいくのではないでしょうか。 このような人材不足が慢性的になれば、日本人だけでは人材が不足する時代が来る可能性があります。そうなると日本で学ぶ外国人留学生や、海外から日本で働きたいという高い意欲を持つ人材を企業が求めていく時代になっていくでしょう。

 当社ではグローバル人材の採用のために、「ボストンキャリアフォーラム」などの就職イベントを、米西海岸、豪シドニー、英ロンドンで開催しています。これからは少子化がより進展することもあり、海外の優秀な人材の発掘を試行錯誤しつつも続けていき、また今後はアジアでのグローバル人材の採用も支援していきたいと考えています。 採用広報開始が12月から3月に変更されましたが、3月の就活スタートが守られているとは思えません。実際、調査をしたところ、早めにスタートをきっている企業も多数あり、すでに新しい採用スケジュールは形骸化してきているといえます。