ロシア・ワールドカップのアジア最終予選がいよいよ再開される。
 
 日本は3月23日にアウェーでUAEと対戦して、28日にホームでタイと戦う。この3月シリーズに挑むメンバーが16日に発表されたけど、相変わらず代わり映えのしない顔ぶれだよね。
 
 目新しいところでは、郄萩や今野、倉田が入ったけど、代表初招集というわけでもない。新鮮さに欠けるのに、会見が1時間近くもかかるのが不思議でならないよ。質問されても、答えていくうちに、どんどん話が膨らんでいく。今回もまさしく“ハリル劇場”だったね。
 
 それはともかく、選ばれた25人の中には、本田や長友、宇佐美と所属クラブで満足に出場機会を得られていない海外組が、当然のように名を連ねていた。
 
 ハリルホジッチは「今回の試合に向けて準備を進めてきて、ヨーロッパにいるほぼすべての選手に会って話をしてきた」と言っていたけど、試合に出ていない選手と会って、なんの意味があるのかな。フランスに帰るきっかけが欲しいだけなんじゃないかと勘繰りたくもなるよ。
 
 本田と長友に関しては、「ビッグクラブと言われるチームにいる。そこでトレーニングするだけでも違いがある。そういった意味でも彼らは信頼できる」と言う。他の国では考えられない選考理由だ。
 
 練習内容なんて、どこのクラブも大差ない。「彼らの代表に対する意欲も感じました」と熱っぽく語ってもいたけど、ちょっと何を言っているか分からないよ。
 
 ふたりの経験を重視しているという発言もあった。経験やネームバリューだけで試合に勝てると本気で思っていたら、勘違いも甚だしいよね。90分間、しっかりと走れるコンディションにあるかどうか。大事なのはそこだよ。
 
 チームに合流して、身体の状態を確認するつもりらしいけど、それを把握するためにわざわざヨーロッパまで行ったんじゃないの? いったい何度見れば気が済むんだろうね。
 
 長友はさておき、今回ばかりは、さすがに本田は呼ばれないと思っていた。なぜなら、前回招集された時よりも、ミランで試合に出ていないんだから。
 
 今年に入ってから、たしか1月のコッパ・イタリアのユベントス戦で終了間際に投入されて、ほんの数分間プレーしただけ。そんな選手をハリルホジッチは呼んだわけだ。
 
「我々のトップスコアラー」とも言っていたけど、代表で一番点を取っているのは岡崎だ。もちろん、今回の予選に限定していることは分かっているけど、楽な試合が少なくない2次予選も含めるなと言いたいね。

【日本代表PHOTO】UAE戦、タイ戦に向けたメンバー25人

 ハリルホジッチは、本田を呼ばないで、万が一、負けた時が怖いんだろうね。実績のある選手を外しておいて、結果を出せなければ、批判の矛先は当然、監督に向けられる。そのあたりのリスクマネジメントを計算したのかもしれない。
 
 経験という意味では、久しぶりに招集された今野についても、その点で評価していた。UAE戦は、その経験が必要な試合になるらしいけど、長谷部と山口を差し置いて、今野を先発させる度胸があるのかな。
 
 倉田については、なぜ呼ばれたのか大いに疑問だ。「後ろからプレーを加速させられる」と評価しつつ、「いろいろなポジションに動いてしまうところを修正できれば」と課題も指摘する。そんな不安のある選手が、このタイミングで本当に必要だったのか。
 
 国内組に関しては、アントラーズの金崎やフロンターレの小林、マリノスの齋藤も選外となった。3人とも、試合に出て、活躍しているのに、ハリルホジッチは彼らのパフォーマンスをちゃんと見ているのか。
 
 タイ戦のジョーカーとして宇佐美を招集したけど、Jリーグでコンスタントにプレーするより、ブンデスリーガで下位に沈んでいるアウクスブルクで練習していたほうが、よっぽど代表に近づけるようだ。
 
 試合に出ている国内組よりも、出ていない海外組が重宝される。これなら、清武も日本に戻ってこなくて良かったよね。
 
 ハリルホジッチは以前、「クラブで試合に出ていない選手は招集しない」というスタンスだったはずで、それも清武のセレッソに戻るという決断に、少なからず影響していたと思う。でも、本田や宇佐美の例を見る限り、試合に出ている・出ていないは関係ないようだ。
 
 海外で燻っているなら、Jリーグでプレーして、そこでの活躍が認められて代表に選ばれ、ワールドカップに出場する――清武には良いモデルケースになってほしかったし、彼の日本復帰には強いメッセージが込められていたように感じたんだけど、ハリルホジッチには届かなかったようだね。
 
 いずれにしても、代表監督には選手を選ぶ権利があるし、それで結果を出せなければ、責任を取ればいいだけの話だ。UAEに負ければ、更迭は免れないよ。
 
 もちろん、UAE戦もタイ戦も勝ってほしいと願っている。というより、今回の3月シリーズだけを考えるのではなく、6月のイラク戦を含めて、ここからの“3連勝”はある意味、ノルマだと思っている。
 
 5節を終えた時点でのグループBの順位は、勝点10のサウジアラビアが首位で、日本が2位。これに勝点9のオーストラリアが3位、UAEが4位と続く。勝点1差に4か国がひしめく大混戦だ。
 
 日本のラスト2試合の相手は、オーストラリアとサウジ。日本がそれまでに3連勝して勝点9を上積みしても、ライバル2か国のどちらかが同じ条件でいる可能性がある。
 
 イラクまでの3試合でひとつでも取りこぼせば、厳しい状況で難敵と対峙せざるを得なくなる。特に、最終戦は敵地でのサウジ戦だ。できるなら、ここまで引っ張りたくはない。
 
 技術委員長の西野は「これからの5試合は本大会を見据えていかなければならない」と、ずいぶんと悠長なことを言っていたね。本大会を見据えている余裕などないし、目の前の試合に勝つことに全力を注がなければ、ロシア行きは遠のくだけだ。
 
 今回選出された日本代表メンバー25名は以下のとおり。

GK
西川周作(浦和レッズ)
川島永嗣(メス/フランス)
林彰洋(FC東京)
 
DF
酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
酒井高徳(ハンブルク/ドイツ)
長友佑都(インテル/イタリア)
槙野智章(浦和レッズ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
森重真人(FC東京)
昌子源(鹿島アントラーズ)
植田直通(鹿島アントラーズ)
 
MF
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
山口 蛍(セレッソ大阪)
今野泰幸(ガンバ大阪)
郄萩洋次郎(FC東京)
倉田秋(ガンバ大阪)
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
 
FW
本田圭佑(ミラン/イタリア)
浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)
原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)
大迫勇也(ケルン/ドイツ)
岡崎慎司(レスター/イングランド)
久保裕也(ヘント/ベルギー)
 
※順番は発表順