あまりに走っていないクルマはリスクが大きい!

中古車を買う場合、走行距離が少ないほうがありがたい。また新車で買ったとしても、走行がドンドンとかさむよりは、あまり走らないほうが好調が長く続く気はする。ただし、これはすべてのクルマに言えるわけではない。

人間が寝たままなら長生きするかというと、そんなわけはなく、適度に運動したりストレスがあったほうが長生きするのと一緒だ。要は年式に対して、適正な距離(1年1万kmぐらい)で走っているかが重要となってくる。

1990年代を中心としたネオヒストリック系の中古店を取材すると、走行距離数百kmのクルマが出てきたという話をよく聞く。一見すると、新車が現代にタイムスリップしてきた〜! なんて気になるけど、じつは一概にはそうともいえない。エンジンは毎週掛けて、近所一周も欠かしてませんでした、というのなら別だが、結局は放置されていただけで、「起こすのが大変」とスタッフはみんな口を揃えていう。

このようなのは極端な例としても、ごくたまにしか乗らないのは、じつはクルマにとっていいこととは必ずしもいえない。まずゴム類は走らないでも劣化していく。また各部に使われている油脂類も同様だ。使わないでも自然に酸化する。

1週間以上掛けていなかったエンジンを始動すると一気に傷む

メカでは、エンジンオイルは下に落ちて、1週間もすればシリンダー内は油膜切れが発生してしまい、この状態でエンジンをかけるといわゆるドライスタートという状態になり、内部を猛烈に痛めてしまう。エンジンの消耗の80パーセントはこのドライスタートが原因というとほどなので、侮ってはダメだ。

そのほか、ブレーキは踏むことで各部のピストンが動くのだが、逆に踏まないと固着が進む。

このように走行が少なくても、劣化は進むわけで、低走行だからといって絶好調とはいえない。結局、クルマを長生きさせるコツは、負担の少ない操作で、定期的に乗ってやることにつきる。それも街乗りばかりだけでなく、高速道路もキチンとスピードを出して走ってやること。そうすれば内部のカーボンも飛んで、気持ちいい吹けも維持。もちろんメンテの励行も重要だ。

こうすれば、今どきのクルマは20年/20万kmオーバーなんていうのも快適にクリアできる実力はある。クルマは走ってナンボ。距離がかさむのは当然と考えたうえで、カーライフを楽しむ。数字ではなく、人間もクルマもどれだけいい歳の取り方ができるかということだ。