“日常”で心を動かされた経験こそが大事



――お話を伺っていると、“日常”という言葉をたびたび口にされますね。

日常ですね、やはり。どうしてもこの仕事って、非日常が多いんですよ。嘘を作り出す仕事なので。その嘘をよりリアルに見せるには、日常の中で生かされた感情、日常で心を動かされた経験といったものが大事だと思う。

――お芝居に通じるんですね。

作り出す感情ではなく、自然に生まれてくるもので芝居がしたいんです。だからこそ、日常を大切にしたいし、恋愛で、相手がそれを意識しなくてもいいんですけど、自然に一緒にいられたらいいなぁって思います。

――近年、『ストロボ・エッジ』に『HiGH&LOW』シリーズ、『ふきげんな過去』、『闇金ウシジマくんPart3』など、いろんな作品で幅広い役を演じられています。主役じゃないのに心に刺さる役柄を演じられていると感じている人が多いと思います。

そう思っていただけるのは、うれしいですね。いろんな作品をやらせていただき、考えは深まっているし、役の幅も広がっていると思いますが、根本にあるのは、とにかくいろんな現場を経験したいという思いです。Wikipediaで山田裕貴のページのフィルモグラフィを見たら「どんだけ長いの!?」って思ってもらいたい(笑)。




――今年の夏には『宮本武蔵(完全版)』で舞台初主演も果たしましたが、主演か否かはあまり、関係ない?

もちろん、主人公を演じることに興味はあるし、ありがたいですけど、どちらかというと助演男優賞が獲りたいタイプ(笑)。脇が好きなんです。それは決して“(責任が小さくて現場に)いやすい”という意味ではなく。主人公って、物語自体が、感情を追いかけてくれるから、見ていてわかりやすいじゃないですか。

――本作も高寿の目線で描かれ、高寿の感情を軸に物語が展開しますね。

むしろ、脇役の立場で物語に関与し、揺るがすような存在…いや、もっと言えば、何をするわけじゃなくても、そこにいられる存在・役柄に興味があるんですよね。

――ご自身の強みはどういう部分だと思いますか?

昔は、自分は無個性だと思っていたんですよ。でも、無個性ってことは、何にでもなれるじゃんって。カメレオン俳優と呼ばれるような俳優でありたい。もちろん、まだまだなんですけど。ある作品で「こいつ、すごく狂気的な役だな」と思いながら見てもらって、別の作品で「このキャラ、コミカルだなぁ…え? 同じ役者さん?」って思ってもらえたら最高ですね。



――“山田裕貴”という名前よりも作品の中の役柄として認識されたい?

作品を見ている間、山田裕貴ってことにあまり気づかれないほうが嬉しいですね。あとになって「あの役、山田裕貴だったんだ!」って。ファンの人に「もう! どれが本当の山田くんなのよ? わかんないっ!」って思ってほしいです。どれが本当も偽物もないんですけど(笑)。

――その意味で、同じ年に公開、放送された『ストロボ・エッジ』の安堂拓海と『HiGH&LOW』の村山良樹は、同じ高校生役でありながらまったく違うタイプで、見ている人の衝撃も大きかったと思います。

実際、そう言ってくださる方が多くて、すごく励みになりましたし、この2作を見て、まだ(両方とも)僕だって気づいてない人もいるんじゃないかと思います(笑)。

――『HiGH&LOW』の取材をしていると、視聴者だけでなく、映画関係者や出演者の中にも“村山推し”の人が多くて驚きました。特に村山とコブラ(岩田剛典)のタイマンはシリーズ屈指のファイトだと。

村山の「コブラちゃ〜ん」って言葉は、台本のセリフじゃなく、つい出ちゃったものなんです。それ以外も、セリフじゃないけどベラベラしゃべっていた言葉がそのまま映し出されてるんですけど、それは監督が切らずに使ってくださったからこそ、みなさんに観ていただけたんですよね。




――むしろ、そういうやり取りこそ、村山らしさだと多くの人が感じていると思います。

あのとき、村山として「生きているなぁ」って感じていたのをいまでも覚えています。それができていれば、セリフの有無やアドリブかどうかは関係なく、ちゃんとその世界の中に残るんだなぁってことを実感させていただきました。

――そこに「生きている」からこそ、監督もカットせずに残したんでしょうね。

僕はいつも「お芝居をする」ではなく「役を生きる」という言い方をしています。いつもできているわけではなく、波も多いんですが…(苦笑)。でもそれはずっと大切にしていきたい。フィクションの世界に、さらに嘘のお芝居を重ねたら、見ている人は引いちゃいます。「こいつ、こうやって生きているんだな」「こうやって生きてきたんだな」というのを、一瞬でも感じてもらえる雰囲気をまとえたらと思ってます。



同世代の役者に闘争心がむき出しだったけど…



――ご自身の中での変化だったり、現場で何かを受け取り、成長しているという実感はありますか?

『ストロボ・エッジ』では、廣木隆一監督から、お芝居について“人間とは…”というところから教えていただきました。「人は笑っているときに、実は泣いているのかもしれないよ」と。それから、舞台『宮本武蔵(完全版)』の作・演出の前田司郎さんにも多くのことを教わりましたね。

――前田監督とは映画『ふきげんな過去』でもお仕事されていますね?

もともとは、前田さんのワークショップに参加させていただいたのがきっかけでした。前田さんに“役半分・自分半分”ということを教わりました。

――芝居をする上でのキャラクターと素の自分の割合という意味ですか?

(武蔵を演じる上で)本当に人は殺せないけど、自分の中にある、もしかしたら人を殺してしまうかもしれないという感覚・感情を増幅して演じることになる。だから、キャラクターも大事だけど、自分も大事なんだと。そこでどう表現したら、見る人の心を動かせるのか? だからこそ、日常で心を動かすって大事なんだなぁと。




――山田さんが“日常”を大事にしている理由がよくわかりました。ところで20代は、青春映画で同世代の俳優と共演する機会も多いと思いますが、周りの俳優に対して、どんな思いをお持ちですか?

昔は、闘争心をむき出しにして、「(同世代の)あいつが出ているなら見たくない!」って思っていた時期もあったんですよ。でも結局、戦う相手は自分なんですよね。それに、周りの同世代で、いいなと思うヤツらって良くも悪くも、周りの声に動じることなく、自分を貫いているヤツが多いんです。

――なるほど。

自分の世界、ペースを持っていて、多少、世間から何を言われようが、気にせずに自分のやり方をまっとうしているヤツらって、アーティスト然としてて、演技を見ていてもうまいなと思います。それにいい意味で、自分の見せ方や武器を知っているんですよね。そういうヤツって強いと思います。そういう、強さや個性、もっと言うと、ちょっと癖があったり、曲がった部分を持っているヤツって面白いなぁ…って同じ世代の俳優を見て、思いますね。

――その中で、山田さんも曲がった部分や一筋縄ではいかない個性を持っている?

どうでしょう? 自分ではわかんないですけど、マネージャーさんにはよくそう言われます…(笑)。



【プロフィール】
山田裕貴(やまだ・ゆうき)/1990年9月18日生まれ。愛知県出身。O型。2011年、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(テレビ朝日系)のゴーカイブルー役で俳優デビュー。連作ドラマ『D×TOWN』(テレビ東京)の一編『ボクらが恋愛できない理由』でドラマ初主演。2014年には『ライヴ』で映画初主演を飾る。2016年、『宮本武蔵(完全版)』にて舞台初主演に抜擢される。主な映画出演作に『ホットロード』『ストロボ・エッジ』『ふきげんな過去』『HiGH&LOW THE MOVIE』『闇金ウシジマくんPart3』など。2017年以降には『闇金ドッグス5』(1月14日公開)、『破裏拳ポリマー』『二度めの夏、二度と会えない君』『あゝ、荒野』などの公開が控える。12月20日放送のクリスマススペシャルドラマ『わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』(フジテレビ系)にも出演。
【ブログ】http://ameblo.jp/yuki-yamada-we/
【Twitter】@00_yuki_Y


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12月17日(土)全国ロードショー!
http://www.bokuasu-movie.com/



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■受付期間:2016年12月15日(木)12:00〜12月21日(水)12:00

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