日本国内のみならず、今や世界中に根強いファンが存在する、藤子・F・不二雄の名作マンガ「ドラえもん」。その愛されっぷりは、様々な派生創作が行われることからも伺える。台湾メディア・東森新聞雲は2日、香港のインターネット作家が「のび太の死」という衝撃的な幕開けでスタートする、「その後」の物語を創作し、ネット上で人気を集めていることを報じた。

 記事は、藤子の誕生日にあたる12月1日に、香港のインターネット作家「藍橘子」さんがFacebook上に、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫が30歳になった時のストーリーを描いた短編小説の公開を始めたとした。小説が「俺はジャイアン。今日俺はのび太の葬儀に行ってきた」という一文でスタートし、30歳のジャイアンを主人公として話が展開していくことを紹介している。

 公開された「第1話」では、交通事故で命を落としたのび太の葬儀に出席したジャイアンが、20年ぶりにスネ夫と再会。自分を見るスネ夫に「金持ちが貧乏人を見る時の見下したようなまなざし」を感じ、20年来いじめ続けてきたにも関わらず、自分の雑貨店に常に買い物に来てくれたのはのび太だけだったことに思い至る。さらに、しずかがスネ夫の嫁になっていたことも分かり、「世の中は結局金銭が物を言う」と失望。自分が社会の底辺に生きていること、のび太こそが真に得難い「心の友」だったことを悟る。そして「のび太を救えるかもしれない」とタイムマシンに乗って、過去の世界にワープをするのだ。

 記事は、藍橘子さんがファンタジーものをメインに多くの小説やエッセイを発表していると紹介。成長期における4人の友情の変化が本作のテーマであり、各キャラクターの個性はマンガのままとする一方で、「現実において多くの人が成長期の環境変化で心が変わるように、心理状態だけは変化させている」という本人の解説を併せて伝えた。

 本作品が掲載されている藍橘子さんのFacebookページでは、第1話に20万人以上が「いいね」などの反応を残し、4万8000件を超えるシェアが行われている。コメントは5万件以上に達しており、その反響の大きさを示している。本人の創作能力の高さもさることながら、やはり「ドラえもん」を愛している人が中華圏で非常に多く存在することが垣間見える事象と言えそうだ。すでに第2話、第3話と続けて公開されており、ジャイアンがのび太を救うことができるのかを含めたストーリーの展開が楽しみだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)s3410312/123RF)