[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本2-1サウジアラビア/11月15日/埼スタ
 
 ホームで行なわれたサウジアラビアとの大一番、岡崎慎司、本田圭佑、香川真司の3人はベンチでキックオフの瞬間を迎えた。ブラジル・ワールドカップのアジア予選がスタートした2011年以降、ワールドカップ予選、アジアカップ、コンフェデレーションズカップといった主要大会では、3人のうちの誰かが必ずスタメンに名を連ねてきたが、ついに“ビッグ3”の牙城が崩れたのである。

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 試合は、岡崎の代わりにCFに入った大迫勇也が前線でボールを収め、香川真司が主戦場とするトップ下で起用された清武弘嗣が攻撃を牽引。右ウイングに抜擢された久保裕也も、PK獲得につながるクロスを撃ち込んだ。

 岡崎に出番が訪れたのは、ロスタイム表示の3分が経過した90+3分だった。その後プレー時間はおよそ3分間あったが、2-1で逃げ切りを図る展開で、岡崎に節目の代表50ゴールのチャンスは巡って来なかった。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合後の会見で、「しっかり準備できていない選手がいれば、先発から外すのは躊躇なくできる」とコメント。たとえ実績のある欧州組でも、調子が良くなければベンチに置く意思を示した。当然ながら、選手たちにも起用についての質問が相次いだが、岡崎は「これが代表のあるべき姿」と言わんばかりに、口を開いた。
 
「調子の良い選手、実力のある選手が出て、結果を出して行くのは普通の流れ。気持ちの整理が難しい? いや、そんなに難しくありません。海外のクラブでも経験しているし、代表とはもともとそういう場ですから、当然のことかなと」
 
 無論、3試合連続スタメン落ちの状況が、悔しくないはずがない。事実、「僕も(自分に)納得してないところはある」と認めている。それでも、「チームとして力をつけていくためには、いろんな選手の力が必要」と考える岡崎は、新たな戦力の台頭を歓迎する。そして同時に、自分の力が求められる時が再び訪れるとも信じているという。
「これまでは、メンバーを固定してへたっていた部分もある。そういう意味で、ようやく高いレベルでどんどん選択肢が広がってきたなと。チャンスを掴むかは、その選手の実力次第だから、試合に出た選手はそこで自信を持ってやればいい。ただ、チームもこのペースでずっと行くわけじゃないし、(僕らが再び)必要とされる時が来る。次は自分が出て行って、また若いヤツが来て、というサイクルが必要になると思います」

 そして、次のように続けた。
 
「代表はとにかく勝たなければいけない。ワールドカップに出たいし、出場権を掴んだらまたそこで戦いがあって……。(ワールドカップに)出場するだけでもダメ。最終的には、予選を突破して世界で勝てるかどうかが大事になる。代表でも、クラブでも、またいろんな戦いが始まりますね」
 
 すべては、勝利が義務づけられた日本代表のため、そしてワールドカップに出場するため――。ハリルジャパンを代表する“サムライ・スピリット”の持ち主は、もう一度エースストライカーの座に這い上がるイメージを静かに沸かせている。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)