連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「四つ葉のクローバー」第24回 10月29日(土)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


「4人ははじまりの時を迎えました」(語り/菅野美穂)
2週目の最終日(12回)、終戦で、これから本番かと思ったら、
3週目の最終日(18回)、冒頭赤い幕が出てきて、ここから本番かと思ったら、
4週目の最終日(24回)、前述の台詞で、今度こそ今度こそ本番に違いない。
おっとりしているようで意外と仕掛けてくる「べっぴんさん」なのである。

4人そろって、ももいろクローバーじゃなくて、四つ葉のクローバー!!!!
ということで、女3人でかしましいだが、4人だと客観的な視点も加わって、抜群の安定感。
英輔(松下優也)の気持ちを察する明美(谷村美月)と良子(百田夏菜子)。
それでもわからないすみれ(芳根京子)。
話題を変える君枝(土村芳)。で、「たきつけるのはよしなさい」というふうにちろりと良子を見る。
「勇気、愛情、信頼、希望 それが全部そろうと幸せになれるの」というお母さんの言葉の象徴・四つ葉のクローバーのようにいいチームワークだ。

この4人で試行錯誤しながら、赤ちゃんの肌着を作る。座ってチクチク縫っている静かな場面も、なんだか華やかに見える。
あさやの一角を借りて、お店「ベビーショップあさや」をオープン。看板としてワンピース(襟に四つ葉のクローバーの刺繍)を作って掲げた。
いよいよオープン。この晴れがましい瞬間、明美だけ一歩引き下がっているのが、謙虚。
お客様第一号は、お父さん五十八(生瀬勝久)だった。

なにもかも輝いていると思いきや、
大阪では、ゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)と英輔には暗雲が・・・。
この件、前からちらつかせていながら、ちょっとだけ間を置いて、その後どうなったかな? と思った頃に事件を起こす。この構成も巧み。

脚本の渡辺千穂は、「名前をなくした女神」や「ファースト・クラス」(いずれもフジテレビ)などで、
女たちの群像劇に定評がある。本音を隠して表面的には仲良くしている女性たちの台詞にリアリティーをもたせて書ける作家だ。興味は女たちの本音のどす黒さに集中しがちだが、女性たちの普遍的な感情や日常生活の基本がちゃんと書けているからこその本音と建前。「ファース・トクラス」は最たるもので、激烈なマウンティングのオフ台詞をどんどん可視化したことがバラエティー的な盛り上がりを見せた(沢尻エリカが主演だったが菜々緒の悪女っぷりが炸裂、菜々緒はこれで女優として飛躍していく)が、もともと主人公はファッションと手仕事が大好きな子というベースはきちんと描かれていた。
今回「べっぴんさん」では、派手にブラックな部分は、ゆりと明美の山椒的な活躍にとどめ、やや抑えめ。それが堅実過ぎて映るのかもしれないが、ぜひとも今回はこのまま清らかな部分を丁寧に描ききってほしい。
(木俣冬)