平成に入ってすでに28年。ここ数年、やや古めかしい佇まいの空間や建築物、死語やダジャレに対して「昭和だ」と形容するシーンをとみに見るようになった。昭和育ちとしては複雑な心境だが、それだけ時代が流れたのだから致し方ない。「昭和は遠くなりにけり」である。

 中国メディア・温州商報は23日、「日本人をノスタルジックにさせる昭和時代はどのように作られたのか」とする記事を掲載した。記事は、第2次世界大戦終結後、日本は空前の繁栄期を迎えたと紹介。経済の急発展に加えて文化においても小津安二郎、黒澤明、高倉健、松田聖子、川端康成などといったヒーロー・ヒロインが続々と輩出された時代であると説明した。そして、この時代こそが歴史上における「昭和時代」であるとし、「今に至るまで、日本人はなおもこの時期に名残を抱いている」と伝えた。

 そして、高度経済成長ピーク期の、まさに「昭和」な日本の庶民生活について、2011年に公開されたアニメ「昭和物語」の中で見ることができると紹介。同作品の背景とされた1964年に代表される昭和の中期、後期の日本は人が生き生きとしていたと解説している。

 また、戦後育ちの子どもは戦争の痛ましい記憶や、廃墟から立ち上がろうとする苦難の光景を経験として持っておらず、「この世代から日本人はついに、何の憂慮もなく自分の夢を追求できるようになった」のであるとした。

 中国において「昭和」という言葉にポジティブなイメージを持つ人はおそらく多くないだろう。昭和前期に繰り広げられた日中戦争や第2次世界大戦で蹂躙されたイメージがあまりにも強いからだ。日本人のノスタルジーと、中国人の屈辱感、同じ「昭和」でも全くイメージが異なるのは、その時代が長くそして激動に満ちたものだったことを示すものと言えるだろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)Dave Hanlon/123RF)