この夏行われたEURO2016は、新興勢力の躍進が目立った大会であった。

出場国が24ヵ国に拡大したこともあり、5つの初出場国が本戦に参加。さらには、人口33万人の小国アイスランド代表がイングランド代表を破るジャイアントキリングを見せると、初出場となったウェールズ代表はなんとベスト4にまで進出した。

他にも2007年にはFIFAランキングで71位に沈んでいたベルギー代表が急激に力をつけ、ついには1位に立った。このように、ヨーロッパにおいては新しい勢力がどんどん台頭しているという状況にあるのだ。

その一方で、近年では低迷期に入っている代表チームもいくつかある。

そこで今回は、才能ある選手を抱えていたり実績を持っていたりしながらも、苦しい時を過ごしている5つの代表チームをまとめてみよう。

オランダ代表

現在のFIFAランキング:20位
FIFAランキングの最高成績:1位(2011年8月)
現在の監督:ダニー・ブリント

2010年のワールドカップで準優勝し、2011年にはFIFAランキングで1位に輝いたオランダ代表。幾多の名プレーヤーを輩出した強豪国だが、ここ数年は低迷が続く。発端となったのはEURO2016予選での敗退で、チェコやアイスランド、トルコに負け越し32年ぶりに本大会出場を逃す。9月に行われたギリシャ戦でも敗れ、1933年以来83年ぶりにホーム5連敗という屈辱を味わった。現在行われているワールドカップ予選ではグループAに入っており、第3節を終えて1勝1分1敗で3位につける。

デンマーク代表

現在のFIFAランキング:50位
FIFAランキングの最高成績:3位(1997年8月)
現在の監督:オーゲ・フリトヨフ・ハレイデ

“ダニッシュ・ダイナマイト”と呼ばれ、代替出場ながらEURO92を制したことで知られるデンマーク代表。1990年以降は国際トーナメントにも継続的に出場していたが、2014年ワールドカップとEURO2016では本戦出場が叶わなかった。16年間にわたってチームを指揮したモアテン・オルセンが退任したこともあり、新サプライヤーを務めるHummelとともに新たな挑戦がスタートする。現在行われているワールドカップ予選ではグループEに入っており、第3節を終えて1勝2敗で4位につける。

ノルウェー代表

現在のFIFAランキング:81位
FIFAランキングの最高成績:2位(1995年8月)
現在の監督:ペア=マティアス・ヘグモ

ヨン・アーネ・リーセやトーレ・アンドレ・フロー、オレ・グンナー・スールシャールといった選手を抱え、1990年代から2000年代前半にかけてはヨーロッパでも中堅であったノルウェー代表。しかし、EURO2000を最後に国際大会からは遠ざかっており、FIFAランキングは小国フェロー諸島に追い抜かれる形で81位にまで沈んでいる。“神童”と呼ばれたマルティン・ウーデゴールが弱冠15歳でA代表デビューを飾るなど、明るい話題もあったのだが…。現在行われているワールドカップ予選ではグループCに入っており、第3節を終えて1勝2敗で4位につける。

スコットランド代表

現在のFIFAランキング:57位
FIFAランキングの最高成績:13位(2007年10月)
現在の監督:ゴードン・ストラカン

北アイルランド代表の初出場、ウェールズ代表のベスト4進出などがあったEURO2016において、英国を構成する4つのチームの中で唯一本戦出場の夢が叶わなかったのがスコットランド代表だ。ワールドカップには計8回出場するなど実績はあるのだが、2000年に入ってから国際トーナメントに進んだ経験はない。北アイルランドとウェールズの台頭にともない、FIFAランキングでも英国4協会の中で最下位が定位置となりつつある。現在行われているワールドカップ予選ではグループFに入っており、第3節を終えて1勝1分1敗で4位につける。

セルビア代表

現在のFIFAランキング:43位
FIFAランキングの最高成績:13位(2010年8月)
現在の監督:スラヴォリュ・ムスリン

タレント輩出国として知られるセルビア。代表チームにもブラニスラフ・イヴァノヴィッチやアレクサンダル・コラロフ、ネマニャ・マティッチといったプレミア戦士が名を連ねるが、国際大会での出場は2010年ワールドカップが最後となっている。EURO2016に向けた予選でも第3節のアルバニア戦で観客が暴動を起こし、勝ち点が剥奪に。予選の8試合でわずか2勝しかできなかった。現在行われているワールドカップ予選ではグループDに入っており、第3節を終えて2勝1分で1位につける。