誕生日やお祝い事はもちろん、友人宅に招かれた時や、ちょっとした挨拶代わりに。シンプルだけど思いのこもった花束を、気取らず贈ってみませんか。

「ちょっとしたお呼ばれや友人の誕生日に、よく小さな花を持っていきます。日本人って花を贈るのが下手だなぁと思うんです。特別じゃなく、もっと気軽なもの。私にとっては“こんにちは”の挨拶代わりです」

気軽に贈るものだからこそ、花束のしつらえもシンプルがいい、とフードスタイリストの高橋みどりさん。

「仰々しいものじゃなく、さりげない感じの花束が理想。迷ったら1輪でもいいし、“自分が持って歩きたい”と思えるくらいのものでもいい。お花屋さんとのコミュニケーションは、“花を贈る”なんて構えないで、どんな気分でどんな人に持っていくのか、自分の素直な気持ちを言葉で伝えるだけでいい」

そんな高橋さんが信頼する花屋は『Florist IGUSA』。

「ここの花は、どれも鮮度がよくて生き生きとしているの」。近所に越してきたスタイリストの友人へ贈る花束を、実際にオーダーしてもらいました。

「彼女、お酒が好きだから“ワインのある食卓に似合う花”をお願いしました。小ぶりな花束なら、リボンをほどけば、グラスにポンと飾れる。そのくらいの軽さがちょうどいいんです」

以下では、センスのいいあの人が普段使いしているフローリストをご紹介。スタイリストの田中美和子さんにそれぞれの店で、推薦してくれた方に贈るための花束を実際にオーダーしてもらいました。田中さんが花束のイメージを伝える際の、注文のヒントもぜひ参考に。

■冷水希三子さん(料理家)が推薦→「まるふく農園」

「料理家の冷水さんのためにオーダーしたのは、“まるごと食べられるハーブの花束”。実家から野菜が送られてきたようなイメージで、10種類以上をミックスしてもらいました。フェンネルやミントはサラダに、ローズマリーや月桂樹は料理のスパイスに」(予算3000円)

じつはここ、花屋ではなく無農薬ハーブの農家さん。「高知の日曜市に行った時に知り合って以来のお付き合い。電話で好みのハーブをリクエストして予算を伝えると、がさっと新

聞紙に包まれた束が段ボールで届くので、そこから自分でいくつかの枝を選んで麻ひもで

結んで贈ります」と冷水さん。シンプルな服を着こなす人や料理上手な友人には、華やか

なものではなく、こんな自然な花束が似合いそう。

◇ひやみず・きみこ 東京・中目黒のアトリエにて11月から料理教室がスタート。http://kimiko-hiyamizu.com

DATA:高知県高知市福井町512-1 TEL:088・875・3826 11:00〜17:00 日曜休 http://www.marufuku.noen.biz/ 全国に配送可。

■荒井博子さん(『DANSKO』ブランドディレクター)が推薦→「野の花 司」

「オーダーする時に思い浮かんだのは、“道で野の花を摘んでそのまま花束にした”というストーリー。ポイントは、可憐な荒井さんにぴったりな一本の白いキキョウ。まるで野原に荒井さんが佇んでいるようなイメージで仕上げてもらいました」(予算3000円)

「ショップのオープニングレセプションの際に女優の桐島かれんさんが贈ってくださったここのお花が、シックで力強くて個性的で」、以来、荒井さんも愛用中。花束上手の近道は、自分好みの店を見つけること。センスのよい知り合いにリサーチをするのもひとつの手。「お店さえ決まれば注文は案外簡単。贈る人の好みの色や届ける場所の画像などを伝えたらあとはお任せです」

◇あらい・ひろこ アメリカ発のコンフォートシューズを扱う。東京・吉祥寺『galley féve』にて「くつ下とダンスコ」展開催中(〜10/1)。http://www.dansko.jp/

DATA:東京都中央区銀座3-7-21 TEL:03・3535・6929 10:00〜19:00(日・祝日11:00〜18:00) 無休 http://www.nonohana-tsukasa.com 全国に配送可。

◇たかはし・みどり フードスタイリスト。雑誌や料理本のスタイリングのほか、自身の暮らしについての著書も。新著『ありがとう! 料理上手のともだちレシピ』(小社刊)が好評。

※『anan』2016年10月5日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・田中美和子 文・瀬尾麻美 《anan編集部》