新興企業向け株式市場の「ヘラクレス」で売買システム障害が続き、新規上場申請を当面凍結した問題で、大阪証券取引所<8697>(大証)が昨8日に東京都中央区の野村證券本店で開いた個人投資家向けの会社説明会に、大証の筆頭株主でM&Aコンサルティング(東京都港区)代表の村上世彰氏が急きょ出席、米田道生社長に経営責任を追及した。説明会終了後、村上氏は記者団に対し、6月22日の大証株主総会で改めて米田社長に責任を問う方針を示し、次のように語った。

─ システム障害に端を発した問題への大証の対応をどう思うか。

 5月26日午後の記者会見で、大証はヘラクレスへの新規上場受け付け停止を発表したが、社外取締役には事前に知らされていなかった。取締役会をどう考えているのか、経営者として失格だと思う。

 受け付け停止発表直前の同日12時半から株価が約3万円も下がっている。取引していた人は誰なのか、証券取引等監視委員会に調査を求めるべき。そういうことで大証の情報が漏れて、インサイダーの可能性があるのか、ものすごく心配。

 それは本当に公の企業の根幹。大証の経営陣がそのときどういう判断をしたのか聞かねばならない。今回のクライシスマネジメント(危機管理)を見ると、米田社長に任せて良いのか大いに疑問。

─ 大証の政策については。

 配当はゼロでも良い。本当に会社にとって何かに投資することが将来役に立つなら、株価は上がると思う。大証が今やるべきことがあれば、配当せずに投資をして、中長期的な株主価値を高めてもいいと思う。「安定配当」という考え方は、私は大嫌い。

 株主総会に出て、証券取引所のあり方を追求する。内部留保の考え方にしても、大証は外部委員会を作るといっている。自分たちで考えられないなら、上場しても無駄。

 信用取引を規制することも、マーケットの一部の機能を放棄すること。多くの人が集まって、適正な価格がつくのが証券取引所だと思う。大証の株主の40%は証券会社。これでは上場した後も、従来の会員制と同じ関係。

─ 東京証券取引所も05年度内の上場を計画しているが。

 そもそも証券取引所が上場すべきなのか、疑問に思う。私は東証の株主ではないが、大証の株主としては大証の上場反対をしてきた。

 私は大証に「MBO(経営陣が既存オーナーから株式や営業資産を買い取って、経営権を取得すること)という手段もあるので、上場をやめよう」と提案してきた。社員が借金を背負っても、将来リターンが望めれば、真剣にやることも必要。

 それに、従業員の給料も均一化されたまま。これでは良い企業をヘラクレスに上場させるなど、社員が頑張っても報われない。【了】

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