●持病があっても入りやすい「引受基準緩和型医療保険」って?
みなさんは保険というと何を思い浮かべますか? 世の中にはたくさんの保険がありますが、その一つひとつが異なっており、なかなか判別がつかない人もいるかもしれませんね。実際、FPの仕事をしていても、「保険に入りたいけど商品がたくさんあって何がどう違うのかわからない」という声をよく耳にします。

保険にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。自分の目的に合った保険をしっかり選ぶためにも、保険の種類を押さえておくことは欠かせません。そこで今回は、基本の「き」とも言える物も含め、代表的な6つの保険について一緒に確認していきましょう。

○医療保険と死亡保険の基本を知る

死亡保険

死亡保険とは、被保険者の死亡によって生じる経済的な打撃からその遺族などを保護し、経済的保障を提供するための保険です。死亡保険には定期保険と終身保険の2種類の保険があります。

■定期死亡保険

定期保険は「保険期間に限りがあり、満了時の返戻金がない」のが基本です。途中解約すれば返戻金はありますが、その額が納めた保険料を上回ることはなく、限りなく掛け捨てに近い死亡保険と言えます。

その最大のメリットは、保険料を安く抑えて高額保障を付けられる点です。この他に、保険金が分割で支払われる「収入保障保険」や年齢を重ねるごとに保障額が下がる「逓減定期保険」といったタイプもあります。

■終身死亡保険

終身保険の最大の特徴は「一生涯保障がある」ことです。支払期間はさまざまですが、その多くが終身払いや65歳までなど数十年単位の長期間におよびます。死亡保険には「貯蓄性」というもう一つの特徴があるので、自身の葬儀代や老後資産の貯蓄にも適しています。ただし、途中解約すると元本割れをする可能性もあります。商品の性質上、満了まで解約しないことを前提に加入した方がよいでしょう。

医療保険

万が一の病気やケガに備えるのが「医療保険」です。一般的な医療保険の保障は「入院給付金」と「手術給付金」で成り立ちます。

入院給付金は「1入院5,000円」など入院日数によって給付され、手術給付金は入院給付金日額の10倍などのケースが多くなっています。保障を超えた医療費は自己負担になりますが、入院患者のほとんどが60日以内に退院しているというデータもあり、60日型の保険が最も人気があります。

最近TVCMなどでもよく見かけるのが、持病や病歴があっても入りやすい「引受基準緩和型医療保険」です。加入前に発病した病気の再発や悪化による入院や手術でも、給付金が支払われるという特徴があり、一般の医療保険への加入が難しい人にうれしい商品になっています。

通常の保険よりも保険料は若干高めの傾向はあるものの、各社さまざまな商品があり内容もそれぞれ異なるので、加入検討の際は情報収集をして自分により有利な商品を選ぶとよいでしょう。

●がん保険に女性保険……専門性の高い保険もチェック
がん保険

「がん保険」はその名の通り、「がん」という病気に特化した保険です。がんと診断された時点でまとまった金額を受け取れる「診断給付金」と「がん入院給付金」「がん手術給付金」を基本の保障とし、これにがん治療のための先進医療費や抗がん剤医療費・通院費などの高額な医療費に備える各種特約がセットになっています。

このほかに、「子宮がん」や「乳がん」など女性特有の病気に特化した「女性保険」もあります。このように一つの病気に特化した保険があると、「専用保険でないと当該疾病に罹患(りかん)しても保障されないのでは……」と誤解する人がいますが、がんや女性特有の病気も通常の医療保険の保障対象です。

がん保険は「親族にがんの人がいる」「生活習慣病が心配」といった人に適しており、基本の保障以上にがんに備えるために加入する保険と考えるとよいでしょう。特約などの保障を厚くすると保険料が高額になりやすいので、加入する際は今の自分に必要な特約かどうかしっかりと検討してみてくださいね。

傷害保険

傷害保険は思いがけない事故によるケガなどに備えるための保険です。その補償内容は、個々によって異なりますが、一般的には、けがによる死亡および所定の高度障害になったときの「死亡保険金」「入院保険金」「手術保険金」「通院保険金」などが補償されます。すべて、急激かつ偶然な外来の事故によるケガの場合が対象となります。

傷害保険は、あくまでケガを補償するための商品で、病気による死亡や入院、手術、通院は補償の対象外となります。そのため、保険料は月額で数百円からとかなり安いのが特徴です。上記のほかに、他人にケガを負わせたときの賠償金が付いている商品もあります。日頃からスポーツをしていてケガのリスクがある人や、遊び盛りのお子さんなどにオススメの保険です。

個人年金保険

少子高齢化が進むなか、国民年金や厚生年金など国の年金だけでゆとりある老後の暮らしを実現させるのは、なかなか難しいのが現状です。個人年金保険は、こうした公的年金の不足分を補うべく、老後のための貯蓄を目的とした商品で、満期が来れば年金形式で生活費を毎月受け取ることができます。

加入時から数十年かけて積み立てていくのがスタンダードですが、退職金などのまとまった資金の一括払いで運用しながら、年金形式でお金を受け取ることもできます。

死亡保険の終身型保険と同様、長期間契約で解約しないことが前提の保険のため、途中解約をすると返戻金が支払額を下回ってしまう可能性があります。加入時が早いほど運用率が上がる傾向がありますが、毎月の積立額は無理をすると途中で支払えなくなる可能性もあります。生活に支障のない範囲で設定することが大切です。

このように、保険には数多くの種類がありますが、必要な保険商品は人それぞれです。目的や予算を考えながら、自分に合ったものをしっかり見極めて選んでくださいね。

※写真と本文は関係ありません

筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)

エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「web R25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。

(FPwoman)