中国が人件費をはじめとする各種コストの安さを強みに、世界の工場と呼ばれていたころ、ありとあらゆる製品が中国で生産されていた。しかし、近年はコスト上昇によって中国国内から東南アジアへ工場を移転させる企業が相次いでおり、もはや中国は世界の工場ではなくなりつつあるのが現実だ。

 中国メディアの捜狐はこのほど、米国在住の中国人による手記を掲載し、「米国にいても、中国経済が直面している圧力を感じ取ることができる」と伝えている。

 記事はまず、米国のスーパーでは「食材は大半が米国産」であり、自国の農産物の保護を行っている米国において、中国産の入り込む余地は少ないと指摘。肉類や海産物については米国産のほか、カナダ産や欧州産は多いが、やはり中国産は非常に少ないと紹介した。

 また、服飾についても「以前はメード・イン・チャイナを購入しないよう気をつけていた」というが、こうした注意も近年は不要になりつつあると指摘し、「米国では服や靴の中国産はどんどん減っており、ベトナムやタイ、インドネシア産が増えている」と紹介した。さらに家電製品のうち、輸入品は日韓産が中心であり、スマートフォンなどにおいてはアップルとサムスンの製品が圧倒的で、中国メーカーのスマートフォンは華人や華僑が使用している程度だと紹介した。

 一方、おもちゃや文房具のように付加価値の低い分野においては、今なお中国産が存在することを指摘し、こうした中国産は「非常に安価で売られている」と紹介。しかも多くの開発途上国がその中国産のシェアを奪おうと、続々と競争に参入していることを指摘し、「付加価値の高い分野では中国産は日本や韓国のように独自のブランドを構築できておらず、シェアも獲得できてないのが現状」と指摘した。

 かつて世界の各大手メーカーは中国国内に工場を設置したり、中国企業の生産を委託するなどしていたが、コスト管理を徹底する大手メーカーほど東南アジアへの移転を進めており、記事が「中国産は今まさに米国市場から消えつつある」と危機感を示すのも当然の状況となっている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)