欲しい物は大概のものは手に入る今の世の中において、「ライフスタイルを提案する」ことで物を売る形態が増えている。一連の商品を買い揃えることでこんな生活ができますよ、という売り方だ。台湾メディア中国時報電子版は8月30日「日本に学ぶ 風格こそが商機に」と題した記事を掲載した。

 記事は、昨今日本の経済系メディアを眺めていると、どの企業も不景気と戦っている様子が伺えると紹介。そのなかで「おもしろいことに、逆境を突破しようしている企業はみな『私たちが売るのは単に商品ではなく、ライフスタイルなのです』と語るのである」とした。

 そして、台湾・商業発展研究院の徐重仁董事長が「現在日本において、企業がイノベーションを実現する唯一の契機が、ライフスタイルの研究なのだ」と分析し、戦後の経済再生期に日用必需品のニーズが高まり、1980年代には商品の選択肢が求められるようになり、商品が爆発的に増え情報社会が発達した2010年台に入って「企業は新たな生活形態を創造する力が求められるようになったと説明したことを伝えた。

 また、ライフスタイルの提案について、東呉大学の劉維公副教授が「製品やサービスによって共感を生む、簡単に言えば、より質のある生活を過ごせる方法を消費者に教えること」と解説したことを紹介。また、ライフスタイルの提案という新たな波に乗れる企業は「過去の物が持つ価値を更に広げる」、「核となる価値を大事にする」、「業界の常識を覆し、独自のスタイルを創造する」という3つの姿勢を持っており、「台湾の企業は学ぶべきだ」とする徐董事長の見解を伝えた。

 台湾もさることながら、急速な経済発展を遂げてモノに困らない豊かな生活を送る市民が増えた中国において、今後「ライフスタイルを提案する」という販売モデルは速やかに浸透していきそうだ。そのニーズに、現地の企業が反応できるだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)