2016年8月21日、リオ五輪が閉幕した。IOCのバッハ会長は「大成功」と胸を張ったが、一方で入場券の不正転売など深刻な問題も表面化。それらは宿題となって五輪旗とともに東京へやって来た。

和服姿の小池百合子・都知事がバッハ会長から五輪フラッグを受け取り、安倍晋三首相がマリオとなって土管から出てくるサプライズ。閉会式は2020年の東京大会へのバトンタッチを世界に示した儀式でもあった。

アイルランド五輪委員会に割り当てられた入場券が...

日本が獲得したメダルは41個。金12、銀8、銅21がその内訳で、金メダルは7位だった。メディアもファンも大いに盛り上がった。

大はしゃぎにピリオドを打った後、どうしても気になる事件があった。IOC理事が逮捕された「入場券転売」である。アイルランドのパトリック・ヒッキーで、大会中にリオの警察当局に宿泊ホテルに踏み込まれて御用となった。

取材記者が解説する。

「事件はアイルランド五輪委員会に割り当てられた1000枚の入場券が不当な高値で転売されたという内容です。英国のスポーツチケット販売会社が絡んでおり、この事件の余波は各国に影響するでしょう」

アイルランド五輪委員会の複数の関係者も宿泊ホテルの捜索を受け、パスポートを押収されている。

この五輪の入場券問題は、多くの大会で不透明さを指摘された過去がある。日本でも旅行会社が入場券を確保していないのに集客をしたり、ダブルブッキングをしたりするなどのトラブルがあった。

どうなる「ゴルフ」

東京大会の入場券が大変な競争率になることは目に見えている。どのようにして一般ファンに販売するかはこれからのテーマだが、ネット販売も含め、10倍、20倍の価格で売られることもありうるだろう。

旅行会社にとっても五輪イベントは商売になるチャンス。入場券獲得を見込んで、いわゆる見込み運転で客を集めることにもなる。詐欺まがいの事件も起こると想像できる。

開会式や人気競技の入場券は五輪関係者が有利になることは、どんな国際大会をみても分かりきっている。ヒッキー容疑者のような不埒者が生まれる土壌はあるわけで、どさくさ紛れに何が起こるか、と思う。

種目にも懸念がある。ゴルフに批判が集まっているのだ。リオでは世界上位の選手は出場を取りやめ、IOCの言うところの「五輪は世界のトップレベルの選手で争われる」とは裏腹の状態となった。

今後、ゴルフ連盟はIOCから叱られ、そのうえで正式種目から外される恐れがある。東京はその意味で重大な大会となる。東京大会は様々な課題が持ち込まれたといっていい。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)