春は“大人ニキビに注意したい季節”ということを知っていた? 花粉やホコリによる影響で肌のバリア機能が低下し、トラブルを生みやすい敏感肌になってしまうことがその原因のひとつ。

「新年度で職場環境などの変化によるストレスを受け、ホルモンバランスが乱れてしまう。これも要因に挙げられます」と、湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科部長の山下理絵さんは言う。

そもそも“大人ニキビ”は、表皮の新陳代謝(ターンオーバー)のリズムが崩れることで、厚みを増した角質層がうまくはがれず、毛穴をふさいでしまうことで起こるもの。

「つまった毛穴の奥にはニキビの原因となる『アクネ桿菌』などの細菌が残っているため、肌の状態を整えないと、ニキビが再発するという悪循環に陥ってしまいます。またターンオーバーが落ちて起こる大人ニキビは、思春期ニキビに比べて跡が残りやすい。ですから早めのケアが大事です」(同)

毛穴に皮脂がつまって白くポツっとした膨らみができる“白ニキビ”や、皮脂が毛穴から顔を出し、空気に触れて酸化した状態になった“黒ニキビ”は初期段階。セルフケアでニキビ跡を残さずにきれいに治したければ、この段階で対処するのが鉄則なのだとか。

「肌の乾燥が悪化の最大の要因となるため、まずはうるおい成分のある洗顔料などで使って、ニキビ周りを清潔にして。ニキビ用の洗顔せっけんは肌の乾燥を促すので、大人ニキビのケアとしては適切ではありません。洗顔後は、保湿効果が高いセラミドや、皮脂と炎症を抑えるビタミンCなどが入ったクリームでしっかり保湿すると、再発防止につながります」(同)

この状態を放置すると悪化して、炎症が起こる“赤ニキビ”や膿みがたまる“黄ニキビ”などに。こうなると、セルフケアだけで治すのは難しいので、皮膚科や形成外科で診てもらうったほうがよいとのこと。もしもニキビ跡ができてしまった場合には、赤みが残っている程度の状態なら、セルフケアでの対処も可能とか。

「ニキビ治療剤を患部に塗ってから、白色ワセリンを重ね塗りして保湿をしましょう」(同)

もちろん、睡眠不足や偏った食習慣など、生活習慣の乱れを治さないと再発の恐れを拭えないそう。春ニキビに悩む人は、この機会に規則正しい生活をスタートして。

山下理絵
湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科。医学博士、同病院形成外科・美容外科部長。日本形成外科学会専門医、日本形成外科学会認定施設長、日本美容医療協会認定専門医、日本レーザー医学会専門医、指導医、日本熱傷学会専門医、日本熱傷学会認定施設長、日本抗加齢医学会専門医、Medical skin care specialist direct doctor、北里大学非常勤講師、横浜市立大学非常勤講師。外傷や再建、腫瘍など形成外科の診療はもちろんのこと、子供のあざやしみなどのレーザー治療では定評があり、多くの講演や教育を行っている。最近では、幹細胞を用いた乳房再建を行い、ウーマンライフのQOLの向上にも努めている。