中国メディアの参考消息網は10日、「米空母は南シナ海で島から12海里内に入れなかった。中国の軍艦が一貫して追尾」との見出しの記事を掲載した。

 南シナ海に派遣されたのは、米第7艦隊に所属するニミッツ級空母「ジョン・ステニス」を中心とする「空母打撃群」と呼ばれる艦隊。中国が実効支配するパラセル諸島(西沙諸島)のウッディー島(永興島)に接近したが、同島から12海里以内に接近することはなく、去ったという。

 中国語には「できる/できた」を意味する表現が多いが、同記事は「没敢」を使った。「没敢」は「仮に能力があったとしても、する度胸がなかったのでしなかった(できなかった)」ことを表す。中国側が「心理戦」で米国に勝ったとのニュアンスがある書き方だ。

 「ジョン・ステニス」空母打撃群の南シナ海派遣前には、中国が永興島に地対空ミサイルのHQ-9(紅旗-9)を配備しているとして、米国政府関係者から同地区の軍事化を進めているとの非難が多発していた。

 米海軍は「ジョン・ステニス」空母打撃群の南シナ海派遣について「5日間の通常行動」と説明。中国艦隊が左右からはさむ形で追尾を続けたが、双方は連絡を保ちあったという。

 さらに、今回の派遣は南シナ海と関連地区の緊張が高まったこととは無関係と説明した。

 参考消息網の記事は、本文中では米国で発表された内容を「淡々と」紹介したが、見出し部分は中国人読者を煽り立てる雰囲気が濃厚だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Visions Of America LLC/123RF.COM)