[画像] 国連は現在も「中華民国国旗」を掲げいている 台湾メディアが「知られざる事実」を紹介

 台湾メディア「中央通訊社(中央通信社、中央社)」はこのほど、「このことを知る人はあまりいない」として、現在も「中華民国国旗」が掲げられている“国連関連施設”があると紹介した。

 国際連合(国連)は第二次世界大戦を戦った主要連合国である米国、英国、フランス、ソ連、中国(中華民国)が中核になり、連合国51カ国が結成した組織だ。正式発足は、51カ国の過半数が自国における国連憲章の批准を済ませた1945年10月24日とされる。

 国民党が共産党との内戦に敗れて台湾に撤退し、1949年10月1日に毛沢東が北京の天安門上で中華人民共和国の成立を宣言したことで、国際機関における「中国代表問題」が始まった。

 中華民国は中華人民共和国を認めず「共匪」などと呼んだ。ちなみに日本は1972年9月25日に中華人民共和国と国交を樹立するまで、中国のことを「中共」と呼ぶことが多かった。「中共」とは中国共産党の略称であり、「中国共産党」という政治勢力の実在は認めるが「国とは認めていない」との理屈だ。

 台湾を支配する中華民国が国連から脱退したのは、日中国交正常化の前年の1971年10月25日だった。国連の2758号決議、いわゆる「アルバニア決議」の採択を受けてのものだ。同決議は中華民国が持っていた国連常任理事国の地位を、中華人民共和国に交代させる内容だったが、中華民国は国連そのものから自主的に脱退した。

 その時点で、国連関連施設に掲げられている中華民国の「青天白日旗」はすべて、中華人民共和国の「五星紅旗」に取り換えられたと思う人が多いが、中央社は「実は違う」と指摘。

 1946年から51年まで使用された、国連の臨時本部だ。米ニューヨーク市のロングアイランドにある。

 同建物は国連発足時の「原状維持」ということで、発足の中核となり安保理事会の常任理事国になった米・英・仏・ソ連・中華民国の旗が、現在も掲げられている。

 記事は、「非常に目立つ。この建物の歴史的意義をさらに高めている」と評した。(編集担当:如月隼人)

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◆解説◆
 台湾では蒋介石が率いる国民党政権が、戦前から台湾に住む「本省人」の意識改造に力を入れた。「中国人」としての意識を「注入」しようとしたと言える。例として、台湾住民の75%程度の母語であるホーロー語(台湾語と通称)や客家語の使用を厳しく制限し、清朝時代には官僚などが用いる「公式語」としての地位を確立した「北京官話」の強制がある。

 蒋介石は日本との関係強化には力を入れる一方で、台湾住民の「日本志向」を削除しようとした。例えば、日本製のアニメで、「鉄腕アトムは放送可。ドラえもんは放送禁止」という時期があった。ドラえもんには「畳を使う和室が出てくる」という理由だったという。

 「青天白日旗」も多くの人が「台湾国旗」と認識するようになったが、最近では「台湾人には関係ない」と主張する人々も出始めた。独立志向の高まりによる「あれは中国の旗。台湾には本来、関係ない」と考える人の出現だ。

 台湾では辛亥革命が勃発した1911年を元年とする「民国紀元」が用いられており、同革命勃発の10月10日を「建国記念日」としているが、反発する人も増えている。「辛亥革命は中国という別の国で起こった革命。台湾には関係ない」との主張だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)