今年1月に軍事施設の写真を海外の雑誌に提供した遼寧省の中国人男性が、懲役8年の判決を受けている。反スパイ法の最高刑は死刑だが、この懲役刑が51歳男性の判例になる可能性がある。

 翻ってスパイ防止法のない日本。現在は中国による産業・経済スパイも日々エスカレートし、守りの甘いわが国は格好の標的にされている。
 「中国は民間取引を装い、千歳基地隣接地や横須賀基地を見下ろせる丘を取得するなど露骨です。またソフトランディング路線を巧みに使い、ターゲットを接待するなどして情報を収集している。海外の大学に留学生に扮した多数の工作員を送り込み、学内に『孔子学院』を開設し、大学教授や知識人を北京旅行に招くなどして親中派知識人を育成しているのです。日本の基幹産業や官庁などの重要部署にある人、発言力のある著名人に中国語の個人教師を付け、この人たちを親中派に養成することもやっている。ハニートラップは大の得意技ですしね」(公安警察関係者)

 主権国家として当然の権利である「スパイ防止法」だが、日本ではなぜか一部のジャーナリストや知識人たちから反対され続けている。しかし、彼らは中国の「反スパイ法」には批判の声を上げなかった。「日本はダメ。中国はOK」では筋が通らない。
 今回逮捕された“日本人スパイ”も「法案に反対しているあの人たちは、いったいどこの国の人?」と思っているに違いない。