1日の日本代表発表で、招集されるとみられていたのに名前が呼ばれなかった選手がいる。そのひとりがハーフナー・マイクだ。

今季、ハーフナーは調子を取り戻した。フィンランドリーグで活躍し、オランダ・エールディヴィジに移籍した後も7試合のうち5試合でフル出場。移籍2戦目にはすでにゴールを挙げ、9月27日時点で5ゴールを奪っている。

2011年のワールドカップ3次予選、タジキスタン戦では2ゴールを挙げ、予選の雰囲気も知っている。2013年、ドーハでの親善試合カナダ戦でもハードなマークをものともせず得点を奪った。「高さ」という一発は、得点力がほしい日本にとって貴重なオプションになるはずなのだが……。

きっとヴァイッド・ハリルホジッチ監督も、名前こそ出さなかったものの、ハーフナーを呼ばない理由を説明しておいたほうがいいと思ったのだろう。会見で現在の日本代表のプレーぶりについてこう語った。

「我々のアイデンティティを探しています。我々の長所で勝負しようということなんですが、今のところロングボールをゴール前に放り込むというのは我々のアイデンティティではない」

「できるだけグラウンダーのパスで仕留めていこう。特に背後へのボールですね。そして背後へフリーで走るということですね」

「それをグラウンダーのプレーでスピードを伴ってやりたいわけです」

これは監督の指向でもあるだろうし、選手の指向でもあるのだろう。アルベルト・ザッケローニ監督時代から、ハーフナーが入ろうと豊田陽平や川又堅碁がいようと、なかなかハイクロスは上がらない。

ハビエル・アギーレ監督時代もクロスからのシュートという練習を繰り返した。トレーニングの際はできるのだが、本番になると選手たちは頑なにヘディングを狙ったボールを供給しない。

アジアでは通用しても、世界の強豪と対戦したときに、日本の身体能力では高さで勝負できないだろうという思いもあるのだろう。だが、今の時点で諦めてしまっていては、もうバリエーションを狭めてしまうことになる。通じる相手に試してみて、その後クオリティがどれくらい上がるかで判断するのが得策だと思うのだが……。

【日本蹴球合同会社/森雅史】