一か月前に比べて、状況はやや悪化している。日本代表の海外組である。

 10月8日に行われるオマーンでのW杯2次予選に挑むメンバーは、10月1日に発表される。選考基準となるのは先週末までのゲームだが、所属クラブで苦しんでいる海外組が少なくない。

 レスター移籍後2試合目でリーグ戦初ゴールをマークした岡崎慎司は、その後ネットを揺らしていない。9月のリーグ戦3試合は、無得点に終わった。武藤嘉紀も、同じく9月のリーグ戦はノーゴールである。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が右サイドバックに指名する酒井宏樹は、右足を痛めてしまった。9月26日のリーグ戦は欠場しており、日本代表に招集できるかどうかは微妙だ。最終ラインの左右両サイドでプレーできる酒井高徳は、ベンチが定位置となってしまっている。

 セリエAのふたりも苦闘が続く。

 9月13日のリーグ戦から3試合連続で先発していた本田圭佑は、27日のジェノア戦でスタメンから外れた。途中交代もなかった。このところのパフォーマンスから判断すると、クラブ内での立場がすぐに好転するとは考えにくい。

 長友佑都はさらにピッチが遠い。9月の4試合は、すべて出場機会を得られなかった。ハリルホジッチ監督の構想で中核を担う選手では、吉田麻也も直近のゲームでスタメンから外れた。

 所属クラブで難しい時間を過ごす選手がいる一方で、好調さをアピールする選手もいる。香川真司は得点に絡むプレーを続けており、長谷部誠はチームに欠かせない存在だ。9月のW杯2次予選直後にリーグ戦初得点をあげた原口元気も、先発出場を続けている。

 ハリルホジッチ指揮下ではまだ招集されていないが、結果を残している選手もいる。オランダ・エールディビジに復帰したハーフナー・マイクは、7試合を消化したリーグ戦で5ゴールを記録している。U−22世代の南野拓実も、10節を終えたオーストリア・ブンデスリーガで5得点を叩き出している。スイス・ヤングボーイズの久保裕也は、ここまで9試合に出場して3ゴールだ。

 10月8日のシリア戦は、2次予選の行方を左右する大一番だ。シンガポールとホームで引き分けてしまった日本は、ともに3試合を消化した現時点でシリアに勝点2差をつけられている。オマーンを舞台とした直接対決では、確実に勝点3を積み上げたい。

 2次予選の大一番でありながら、シリア戦は事前のテストマッチなしに臨まなければならない。開催地オマーンにメンバーが揃うのは、10月5日になるだろう。3日後にはもう、シリアと相対する。

 準備期間が短いだけに、メンバーは継続性を尊重したものになるはずだ。9月の2試合を欠場した槙野智章と太田宏介も戦列に復帰できそうだが、所属クラブで結果を残せていない選手や出場時間の短い選手が、海外組に目立つ。

 彼らのフィジカルとメンタルのコンディションを、ハリルホジッチ監督はどのように判断するのか。そのうえで、勝利へのシナリオをどのように練り上げるのか。所属クラブと日本代表で、違うポジションを任されている選手もいる。

 個人的には、状態のいい選手を招集したい。ハーフナーであり、南野であり、久保である。1点が必要な局面も想定して、デン・ハーグで得点をあげているハーフナーは加えておきたい。高さというオプションは、決して邪魔にならないものである。