そういう意味で言うと、ドル/円の9月の予想レンジとしては、1ドル=115円-122円というところでしょうか。中国政府がどんな景気対策、株価対策をうち出してくるのか。ニューヨーク株式市場がどう動くのか。9月相場は株式市場によって大きく左右されるマーケットになりそうです。

――ユーロ市場は思ったより大きく動きませんでしたが……?

 ギリシャのチプラス首相が辞任するなど、ユーロ市場でも比較的イベントはあったのですが、世界同時株安ですっかり消し飛んでしまいました。市場の関心は、中国株と米国の金利に移ってしまったようです。その一方で、中国株の下落によってドイツ株が大きく売られるなど、欧州市場にも世界同時株安の影響は大きく出ています。

 ユーロの動きとしては、ユーロ円はほとんど動きませんでしたが、注目すべきはユーロドルで、1ユーロ=1.18ドル台をうかがうところまでユーロ高に振れました。このあたりの水準がポイントになるかもしれません。

 9月のレンジとしては、ユーロ/円が1ユーロ=133円-139円、ユーロ/ドルが1ユーロ=1.10ドル-1.18ドルというところです。

――中国と関係の深いオーストラリアドル(豪ドル)相場はどうなるでしょうか?

 中国経済の影響を大きく受けているオーストラリアですが、今回の中国株の下落は豪ドル相場にも大きな影響をもたらしました。もともと鉄鉱石など、中国向けの輸出で大きな打撃を受けているオーストラリアでは、今後の景気後退が心配になります。

 時期ははっきりしませんが、年内にももう一度、金利の引き下げがあるかもしれません。とりあえず、9月1日に実施されたオーストラリア準備銀行(RBA)の「金融政策委員会」では、現在の2.0%の金利据え置きを発表しています。

 9月もかなりのボラティリティが予想されますが、レンジとしては豪ドル/円で、1豪ドル=82円-89円と考えています。

――9月も荒れそうですが、トレードで注意すべき点は?

 中国株と米国の金利引上げのタイミングが9月相場を左右すると思います。加えて、日本株もしばしば中国株を上回る下落が続いており、やはり荒れそうな予感がします。こんな時にはポジションを抑えて、細かなトレードを心掛けたいものです。

 8月の円高では、ロスカットを経験した人も少なくなかったのではないでしょうか。9月相場でも1日に2円以上の変動幅を覚悟する必要があるかもしれません。レバレッジ管理を徹底して、ロスカット基準を常に意識する必要があります。(取材・文責:サーチナメディア編集部)。