待望の出場だった。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の就任初戦は自分が育った町、大分。監督に「自分はここで育って大分に所属していた」とアピールした。監督は「しら叶ったことを教えてくれてありがとう」と答えてくれたので好感触を得たが、そのチュニジア戦も含め、その後1試合も出場することはなかったのだ。

だが結果は逆転負け。西川はできる限り笑顔を作ろうとするが表情はぎこちなかった。

「結果を出せなかったというのは非常に……悔しいですし、相手のやり方にうまくはまってしまいました」

初めて組むメンバーでの出場だったし、選手たちの疲労の色は濃かった。その中で、西川が戸惑っていたのを象徴する場面もあった。キックの正確さに定評のある西川が、誰に蹴るとでもなく、大きなロブを上げたのだ。

「あれは、前を見てもうまく人がいなかったので、滞空時間を長く取ってディフェンスラインを上げたかったんです。いつもならつなげるのでしょうが、チーム状況を考えるとああいう選択肢が一番いいと思いました」

それはいつものメンバーではなかったからだ。
「だけど、いつも組んでいないメンバーだからこそ、より結果を残したかったと思います」

では最後のゴールはどうやれば防げたのだろう。相手は単純にクロスを上げたので、カバーは間に合わなかったし、GKが飛び出すタイミングもなかった。もし最初から前に出ていると、ループシュートで頭上を抜かれたかもしれないのだ。

「あの時間帯、この気温、だからGKがもっと守備範囲を広くしなければいけないと思います。GKの役割は、終盤にいいプレーをしてチームを勝たせることだと思うので、そういう課題をしっかり受け止めながら、これを活かしていきたいと。ループが来ても、それをもっと予測できるようになりたいし、DFが疲れているのもわかったので、それまでカバーできるGKにならなければならないと思います」

西川は目標をさらに高く置くことで、北朝鮮戦の教訓を活かそうと思っている。はたして西川の次のチャンスはいつ来るのだろうか。早ければすぐ次の試合になるが、そうなるとまた精神的にも肉体的にも疲労は回復しない。

「気持ちは切り替えて。あとはこのスケジュールを楽しみながらやります」

そう言うと、西川は表情を引き締めながら、少しだけ笑顔になった。

【日本蹴球合同会社/森雅史】

西川周作

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 北朝鮮戦の先発イレブン

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 永井謙佑

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 遠藤航

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 興梠慎三

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 山口蛍

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 柴崎岳

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 森重真人

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)


▼ 逆転負けを喫した、ハリルジャパン

(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)