MLB公式球の滑りやすさから生まれるメジャーの不正投球問題、NPB公式球なら「粘着質の添加物は不要」

 不正投球についての議論が吹きすさぶアメリカで、地元メディアや往年の名投手がメジャー球の滑りやすさと比べながら、NPB公式球であるミズノのボールを絶賛している。ニューヨークの地元紙ニューズ・デイが報じている。

 メジャーリーグでは投球の際に外的物質を用いることを明確に禁止しているが、時に寒い日の試合では松ヤニやサンスクリーンとロージンバッグを混ぜた物体を用いて、ピッチャーがグリップを良くすることが慣習化している現状がある。

 2014年、ヤンキースのマイケル・ピネダ投手が試合中に首に松ヤニを塗り、退場と出場停止処分を受けたことをきっかけに、メジャーでは粘っこい議論がなされてきた。投球時にすっぽ抜けて打者を命の危険に晒すことのないよう、“暗黙の了解”と化したとすら言われる投手の滑り止め使用を公認すべきか否か。白熱の議論は解決を見ないままに今季を迎えていた。

 記事では、今季も「つややかで粘り気のある腕」が原因で複数の投手たちが出場停止の裁定を下されている現状を指摘しながらMLBの不正投球問題を取り上げ、解決手段の一つに「ボールそのものの手触りを向上させること」を挙げている。

「もう一つの選択肢は、より納得がいくものだろう。日本におけるMLB、ニッポン・プロフェッショナル・ベースボールを模倣し、野球のボールそのものの手触りを向上させることだ。ミズノ製の野球のボールは革の質感と粘着性を保っており、箱から直接つかんで使うのに適している。粘着質の添加物は、合法であろうとなかろうと不要だ」

 記事ではこう紹介されている。

NPB公式球のフィット感は往年の名投手も「ファンタスティック」と絶賛

 NPBが歩んだ道をMLBが踏襲することについて、かつてヤンキースで投手として活躍したデービッド・コーン氏も「ファンタスティック。間違いなく、(MLB機構は)詳しく調べるべきだと思っているよ」と語ったという。

 NPB公式球の誇るフィット感は、数日前にもレッドソックスのジョン・ファレル監督によって高く評価されていた。ファレル監督は「日本のボールは完全に違う。ピッチャーはあのようなボールを使うことを好むと思うよ。ピッチャーはベトつき感やグリップを高めるものを求めている。日本のボールは明確にそれを供給してくれる」と、メジャーで使用するボールもNPB公式球を参考にするべきと主張していた。

 メジャーの投手の間ではトミー・ジョン手術を受けるケースが続いているが、この一因に、メジャー球の滑りやすさを指摘する声もある。ミズノのNPB公式球が“輸出”されるようなことがあれば、ピッチャーの生命線である肘の靭帯保護というメリットも生まれるかもしれない。