コラム【芸能界クロスロード】

目玉なき平成最後の紅白 NHKがすがる歌以外の“隠し玉”

「紅白」の司会者に続き出場歌手が発表された。

「なぜこの人が選ばれた」「なぜあの人は落ちた」と、毎年お馴染みの突っ込みも入るが、選ぶのはNHKの一歌番組。追及したところでむなしいだけ。それでも年々の傾向から見えてくるものがある。出場者の若返りだ。

 かつて出場者の主力だった演歌歌手が今年は男4人女6人。肩身の狭くなる演歌界。このままなら数年で演歌歌手は消滅する。逆に毎年のように「この歌手は誰?」と高齢者たちが首をかしげる歌手がいる。まさに世代間のギャップがくっきり。

 しょせん、高齢者と若者が共に納得できる歌手で占める選出など無理なこと。それでも以前は、前半はAKB48ら若者向けの歌手。後半は年配者向けの歌手と懐かしのヒット曲。まるで視聴者の入れ替え制のようでも、番組構成のバランスは保たれていた。そのバランスも年々、崩れてきている。

「演歌や歌謡歌手が多かった時期があったが、結果、紅白の若者離れが始まった。離れた若者を呼び戻すには若者が支持する歌手の出場は不可欠」(NHK関係者)

 すでに69回を迎えた紅白。長寿番組を継続するにはマンネリ化対策は必要。司会者、歌手の若返りは同時に視聴者の新陳代謝も図っているかのよう。長く番組を続けるには、中高年が当時好きだった歌手と共に紅白を見続けてきたように、若者にも紅白を習慣づけしなければならない。若者を意識した番組作りが出場者の変化に表れている。

 恒例の初出場も今年は「紅組2・白組4」いるが、音楽界の思惑もある。

「CDが売れない時代でも若者は好きな歌は買う。紅白に出場すれば、CDの売り上げにもつながる。初めて紅白で歌を聴く高齢者にも認知され、来年の人気やヒットにも好影響を与える可能性も出てくる」(音楽関係者)

 かつて演歌歌手は「紅白」出場によって、翌年は全国の営業が増えた。

「1曲のヒット曲と1回の紅白出場で家が建った」と言われたこともあり、新人歌手は「目標は紅白出場」が合言葉だった。今はベテラン歌手も紅白出場が営業にもCDの売り上げにもなかなかつながらない時代。紅白は歌手としてのステータスに過ぎない。逆に若手歌手にとって「紅白」は来年につながっている。若者の視聴者を取り戻したいNHKの思惑とも一致している。あおりで演歌歌手が減り、代わりに出場する若手がいる。スポーツ界、政界に世代交代があるように、紅白も世代交代が確実に進んでいる。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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