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[ICON]眼光紙背

眼光紙背

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眼光紙背[がんこうしはい]とは:「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。Readerに追加RSS

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【MiAUの眼光紙背】「米国型自由」と「日本型自由」の埋められない差

MIAUの眼光紙背:第24回

今年1月に行なわれた「2009 International CES」での話だ。ある日本企業が、デジタル放送向けの著作権保護技術(DRMチップ)を参考出展していた。そのブースを訪れた米国の記者が「これは何だ?」と質問していたのだが、答えに耳を澄ますと、誰もが「それは人々の自由を阻害するものだ」とつぶやいて立ち去っていったという。

日本では地上デジタル放送に「ダビング10」というコピー制御信号が埋め込まれ、視聴者の無制限なコピーを防いでいるが、米国では現在もデジタル放送にDRMをかけていない。しかし、どういうわけか海外の放送局やコンテンツホルダーには、「日本は放送にDRMをかけて儲かっている」という話が一人歩きしているようで、今になって日本のB-CASが注目されているのだとか。だが、面白いことにメディアや記者の意識の中にがっちり「自由」というものが埋め込まれている米国では、そもそも視聴者に対して不当にコピー制限をもたらすようなものは報道されない。実際導入されたとしても、仕組みとして受け入れられることはないだろう。

米国は、民意の強い国である。今ある自由は権利として勝ち取ったものであり、それを守るために戦うという意識が強い。米国のTVドラマや映画などのフィクションでは、自由が抑圧された別社会が描かれ、それに抵抗するレジスタンスの話が結構ある。60年代に制作されたテレビシリーズの「スタートレック」ですら、このようなエピソードが多い。こうして常に「もし自由がなかったら」をシミュレーションすることで、正しい自由のあり方に対して鞭を入れるようなところがあるのではないかと思う。

「日本に自由がない」と言いたいわけではない。ただ、「自由の勝ち取り方」が違うのだ。日本の場合は、誰かが苦労して勝ち取った自由をシェアするというのが基本的な枠組みになっている。言い換えれば、「日本的な自由」は、「平等である」という観点が中心に置かれることで、シェアすることが可能になっているのだ。

しかし米国における自由は、権利と表裏一体のところがある。人々は常に「自分の権利としての公平性」を主張する必要があるのだ。権利は黙っていればどこからか転がり込んでくるものではない。不公平な状況というのは、ランチに並ぶ行列からタクシーの割り勘に至るまで、身近なところで常に起こっている。ある意味まったく油断ならない社会であるが故に、自然とそのような価値観になるのではないか。

数年前、ホテルからコンベンションセンターまで10人ぐらいでリムジンを割り勘で乗ったとき、運転手に「お前は東洋人だから2倍払え」と言われたことがある。あまりの露骨な人種差別に絶句していると、会計を買って出た一人の乗客が「それはひどいだろう」と仲裁に入ってくれ、おかげで事なきを得た。21世紀の米国で比較的治安が良いとされているラスベガスでも、アンダーグラウンドでは未だにそういうことが起きる。

米国人の面白いところは「どんな境遇でも幸せや成功を掴むことができる」と、本当に一人一人が信じ切っているところである。CES開催中、メモリーカードなどでお馴染みのSanDiskが新しい音楽配信事業を始めるというので、プレスカンファレンスに出席したのだが、そこでは以前のSanDiskの音楽配信事業でアルバムセールスNo.1アーティストだったということで、R&Bシンガー/プロデューサーの「Akon」が登壇、新事業のキャンペーンとしてAkonのニューアルバムをフィーチャーしたオリジナルのMP3プレーヤーをプレスに配布していた。

後で調べてみると、Akonと言う人は若い頃にいくつかの犯罪歴があり、服役したこともあるようだ。また一夫多妻制をリアルに実行しているということで、社会的に非難を浴びたりもしている。元ヤンキーどころではない、ガチな人である。しかし過去にいろいろあっても、自らの才能で良いものを作った人間は正当に評価される土壌がある。日本ではなかなか企業のキャンペーンとしては使いづらいタイプのアーティストだが、人の業績を認めることも企業の度量として必要とされるあたりが、いかにも米国らしい。
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