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【MiAUの眼光紙背】第6回:一罰百戒をねらって潜在的な権利侵害者を生み出すだけで良いの?(真紀奈)

2007年12月10日11時11分 / 提供:眼光紙背

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現在の著作権法の改正と罰則の適用状況を見ると、一つの方向性が見受けられます。それは「一罰百戒」を狙っているのではないか、ということです。権利侵害状態にある人が多い割に、実際に訴えられる事例というのは、そう多くないように思えませんか。

例えばWinnyの利用者というのは、ほとんどが送信可能化権の侵害をしていますが、利用者が捕まったという話はそう多くは聞かないですよね。とりあえず法を厳しくして、たまに捕まえて萎縮効果を狙う、そういう状況になっているように思えるわけです。

今回の違法サイトからのダウンロード違法化についても、同様の効果を狙っているように思えます。罪を作って1,2例捕まえてみて、ユーザーが変なサイトからダウンロードするのを思いとどまるようにするというのが狙いなのではないでしょうか。

けれど、別に法律を変えなくても、ファイルのアップロードをする人を訴えることはすでにできる(送信可能化権)わけですから、それで侵害状態を防ぐことはできるわけです。現にアメリカでは、公衆送信権の侵害者をRIAA等が大量に訴えることで対応しています。

なぜ日本では同じことをやらないのでしょうか。

このことについて聞いてみると、コストに見合わないという発言を聞くことができます。賠償金に比べて訴訟コストの方が高いので、訴えていない、というわけです。でもその事情は、アメリカでもそう変わるわけではないように思います。確かに日本よりも高い賠償額を設定できますが(懲罰的賠償等)、賠償金を払えないという人も多くいるでしょうし、訴訟コストに見合うだけの賠償額を得られているとはあまり思えないんですね。

では、なぜアメリカでは、権利者によって訴訟が行われているのでしょうか。

それは、法の下の平等という概念があるからだと言われています。アメリカでは、一罰百戒を狙った場合、それは法の下の平等に反すると解釈されるそうです。権利侵害者はたくさんいるのに、ある特定個人だけを訴えるというのは不公平である、という論理がなりたつらしいんですね。だから訴える側は、自分のできる範囲で侵害者を訴える必要がある、というわけです。

日本では、違法行為があれば国が刑事的に救済すべきであるとの考えが主流だと思います。訴訟は「和を以って尊し」的な観点から、忌避されがちです。それに対し、アメリカ法では、民事訴訟は歓迎されています。社会の違法行為を少なくするために、私人が行動を起こしてくれていると考えるからです。 Private Attorney Generalと言われ、懲罰的損害賠償制度やクラス・アクションにはこうした考えが反映されています。

このように、日本とアメリカでは法体系や社会的背景、法に対する意識が異なっていますから、訴訟をどう行っていくか違ってくるのは当然かもしれません。そもそも、大陸法と英米法ということで、基本理念が大きく違いますし、比べることが間違っているともいえます。

でも、よく「アメリカでは○○だから〜」という発言も聞こえてくるわけですし、真紀奈はここであえて皆さんに聞いてみたいと思います。アメリカと日本、どちらの方法がより良いと思いますか?

真紀奈は、法律を作る際にはちゃんと執行までを考えて欲しいと思っています。たくさんの人を潜在的な侵害者にするというのは、法律が守られていない状態が普通になるということですし、モラルハザードを起こしやすくなります。それは、誰にとってもあまり嬉しくない結果をもたらすと思うんですね。

実際のところ、現状で、著作物のアップロードが侵害だという認識がどの程度あるのでしょうか。今でも多くの人がWinnyはただで音楽が手に入るツールだという認識をもっているような状況だと言われていますが、これは、利用者を訴えてこなかった権利者の責任でもあると思っています。そのような権利が欲しいといった以上、きちんと取り締まりに力を割いて、権利について認識されるまで、自分の権利であることを主張し続けないといけないと思うんですね。
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MIAU  眼光紙背  著作権  モラルハザード  Winny  
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