【MiAUの眼光紙背】第2回:「違法サイトからのダウンロード違法化」は、何が問題か(津田大介)
2007年11月12日11時00分 / 提供:眼光紙背
ここ数年のインターネットの盛り上がりを代表するサービスといえば、間違いなくYouTubeに代表される動画投稿サービスだ。ネットレイティングスの調査によれば、現在YouTubeの日本人利用者は1000万人を超え、同種の日本発サービスである「ニコニコ動画」の会員数も300万人を突破し、現在もネットのコアユーザーを中心に会員数を増やしている。
しかし、動画投稿サイトの盛り上がりとは裏腹に深刻な社会的問題もクローズアップされるようになってきている。著作権問題だ。一度でも動画投稿サイトを利用したことがある人ならば分かるだろうが、基本的に動画投稿サイトは、ユーザーが保存録画している動画をネットにアップロードすることで、他のユーザーがその動画を見られるというサービス。そのため、テレビから録画した動画をユーザーが勝手にアップロードする場合、一切の著作権処理がなされず、著作権(公衆送信権)の侵害になってしまう。
ネットの海賊版問題は動画投稿サイトだけにはとどまらない。数年前から問題になっているファイル交換(P2P)ソフトでは、音楽や動画、ゲームなどさまざまな著作物が無料でダウンロードできるようになっているし、最近はネットのアップローダーからアーティストの最新楽曲を携帯電話で再生できる形でダウンロードできる「違法着うた」が問題になっている。
現在の日本の著作権法では1997年に創設された「送信可能化権」という権利により、権利者の許可無くネットに著作物を「アップロード」する行為が禁じられている。動画投稿サイトにアップロードする行為も、ファイル交換ソフトにファイルを「放流」する行為も、違法着うたのアップローダーに作った着うたファイルをアップロードするのもすべて、送信可能化権侵害になり、個人の
場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金という重い刑が科せられるようになっている。
従来のネット上の海賊版問題は、この送信可能化権に基づき、摘発が行われてきた。01年にはWinMXというファイル交換ソフトを使っていた2人のユーザーが逮捕され、03年にはWinnyというファイル交換ソフトのユーザーが逮捕。Winnyはその後開発者も著作権侵害ほう助の罪で逮捕された。
動画投稿サイトについても同様だ。06年に米国の動画投稿サイトGoogle Videoに、「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」をアップロードしていたユーザーの身元を発売元が突き止め、損害賠償請求訴訟に加えて刑事告発を検討したが、アップロードしたユーザーが、罪を認めて謝罪を行ったため、損害賠償金を支払うという形で決着した。 違法着うたについても今年5月にレンタル掲示板を利用して配信を行っていたユーザーが逮捕されている。
細かい事例を含めると、こうしたネット上の著作権侵害事件の摘発や損害賠償請求訴訟は枚挙にいとまがない。しかし、権利者にとって送信可能化権という便利なツールがあるにも関わらず、それだけでは法的保護が足りないと考えているようだ。そこでここ1〜2年の間に急速に浮上してきたのが「違法著作物ダウンロードの違法化」である。
このことについて約1年半議論を行ってきた文部科学省文化審議会私的録音録画小委員会は、9月26日に中間整理案をまとめた。中間整理案にはネット上に違法な状態でコピーされた音楽や動画の著作物をダウンロードする行為を著作権法30条(私的複製についての項目が書かれている)の適用外とする方針が書かれ、「審議の上、30条の外に置くことが適当であるとの意見が大勢を占めた」という形でまとめられた。今後パブリックコメントとして、一般から意見を求めた後、法改正案が国会に提出される。つまりこれは、要するに違法な音楽・動画ファイルをダウンロードすることを「違法」にするということである。
とはいえ、ネットを利用するユーザーから見たら、自分がダウンロードしようとしている著作物が違法なのか合法なのか判断するのは非常に難しい。事情を良くしらない善意のユーザーまで「違法行為を行った」と判断されてしまう可能性があるのだ。今回の改正案では、そうした善意のユーザーが違法行為と判断されないよう、いくつかの「条件」が付けられている。
1つは「録音」「録画」に限るということ。テキストや写真、絵画、マンガなどの著作物は今回の対象から外れる。
もう1つは「情を知って」という制限事項が付くこと。これは、「その著作物が明確に違法であるという事情を知って、あえてダウンロード」していた場合のみ違法とするということだ。違法かどうかよくわからない状態でダウンロードを行った場合、違法とは判断されない。
もう1つはダウンロードの違法化には「刑事罰」が設けられないということだ。違法だが刑事罰がないというのは、未成年者の飲酒やNHKの受信料支払いと同じ。違法行為を行っても「逮捕」されることはない。ただし、民事訴訟(損害賠償請求)の対象にはなるので、明らかに情を知ってダウンロードしていたことを、訴える側が証明できる場合、民事訴訟が行われる可能性はある。
最後の1つが、今回の改正は「ダウンロード(保存)」が対象であり、「ストリーミング」は対象外ということだ。文化庁的にははYouTubeもニコニコ動画もストリーミングであるという解釈であり、それらのサイトで違法にアップロードされた動画を「視聴」するだけならば違法にはならない。ただし、フリーソフトや市販のツールを使って、情を知りつつ動画をダウンロードする行為は違法になる。
しかし、動画投稿サイトの盛り上がりとは裏腹に深刻な社会的問題もクローズアップされるようになってきている。著作権問題だ。一度でも動画投稿サイトを利用したことがある人ならば分かるだろうが、基本的に動画投稿サイトは、ユーザーが保存録画している動画をネットにアップロードすることで、他のユーザーがその動画を見られるというサービス。そのため、テレビから録画した動画をユーザーが勝手にアップロードする場合、一切の著作権処理がなされず、著作権(公衆送信権)の侵害になってしまう。
ネットの海賊版問題は動画投稿サイトだけにはとどまらない。数年前から問題になっているファイル交換(P2P)ソフトでは、音楽や動画、ゲームなどさまざまな著作物が無料でダウンロードできるようになっているし、最近はネットのアップローダーからアーティストの最新楽曲を携帯電話で再生できる形でダウンロードできる「違法着うた」が問題になっている。
現在の日本の著作権法では1997年に創設された「送信可能化権」という権利により、権利者の許可無くネットに著作物を「アップロード」する行為が禁じられている。動画投稿サイトにアップロードする行為も、ファイル交換ソフトにファイルを「放流」する行為も、違法着うたのアップローダーに作った着うたファイルをアップロードするのもすべて、送信可能化権侵害になり、個人の
場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金という重い刑が科せられるようになっている。
従来のネット上の海賊版問題は、この送信可能化権に基づき、摘発が行われてきた。01年にはWinMXというファイル交換ソフトを使っていた2人のユーザーが逮捕され、03年にはWinnyというファイル交換ソフトのユーザーが逮捕。Winnyはその後開発者も著作権侵害ほう助の罪で逮捕された。
動画投稿サイトについても同様だ。06年に米国の動画投稿サイトGoogle Videoに、「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」をアップロードしていたユーザーの身元を発売元が突き止め、損害賠償請求訴訟に加えて刑事告発を検討したが、アップロードしたユーザーが、罪を認めて謝罪を行ったため、損害賠償金を支払うという形で決着した。 違法着うたについても今年5月にレンタル掲示板を利用して配信を行っていたユーザーが逮捕されている。
細かい事例を含めると、こうしたネット上の著作権侵害事件の摘発や損害賠償請求訴訟は枚挙にいとまがない。しかし、権利者にとって送信可能化権という便利なツールがあるにも関わらず、それだけでは法的保護が足りないと考えているようだ。そこでここ1〜2年の間に急速に浮上してきたのが「違法著作物ダウンロードの違法化」である。
このことについて約1年半議論を行ってきた文部科学省文化審議会私的録音録画小委員会は、9月26日に中間整理案をまとめた。中間整理案にはネット上に違法な状態でコピーされた音楽や動画の著作物をダウンロードする行為を著作権法30条(私的複製についての項目が書かれている)の適用外とする方針が書かれ、「審議の上、30条の外に置くことが適当であるとの意見が大勢を占めた」という形でまとめられた。今後パブリックコメントとして、一般から意見を求めた後、法改正案が国会に提出される。つまりこれは、要するに違法な音楽・動画ファイルをダウンロードすることを「違法」にするということである。
とはいえ、ネットを利用するユーザーから見たら、自分がダウンロードしようとしている著作物が違法なのか合法なのか判断するのは非常に難しい。事情を良くしらない善意のユーザーまで「違法行為を行った」と判断されてしまう可能性があるのだ。今回の改正案では、そうした善意のユーザーが違法行為と判断されないよう、いくつかの「条件」が付けられている。
1つは「録音」「録画」に限るということ。テキストや写真、絵画、マンガなどの著作物は今回の対象から外れる。
もう1つは「情を知って」という制限事項が付くこと。これは、「その著作物が明確に違法であるという事情を知って、あえてダウンロード」していた場合のみ違法とするということだ。違法かどうかよくわからない状態でダウンロードを行った場合、違法とは判断されない。
もう1つはダウンロードの違法化には「刑事罰」が設けられないということだ。違法だが刑事罰がないというのは、未成年者の飲酒やNHKの受信料支払いと同じ。違法行為を行っても「逮捕」されることはない。ただし、民事訴訟(損害賠償請求)の対象にはなるので、明らかに情を知ってダウンロードしていたことを、訴える側が証明できる場合、民事訴訟が行われる可能性はある。
最後の1つが、今回の改正は「ダウンロード(保存)」が対象であり、「ストリーミング」は対象外ということだ。文化庁的にははYouTubeもニコニコ動画もストリーミングであるという解釈であり、それらのサイトで違法にアップロードされた動画を「視聴」するだけならば違法にはならない。ただし、フリーソフトや市販のツールを使って、情を知りつつ動画をダウンロードする行為は違法になる。
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