【保田隆明の眼光紙背】第4回:新興市場、復活は本物か?
2007年10月26日11時00分 / 提供:眼光紙背
ここ最近、新興市場の株価回復が顕著である。マザーズ指数は9月に最安値をつけて以来上昇に転じ、この1ヶ月間で約50%も上昇した。サブプライムローンの影響などで横ばいを続ける日経平均やTOPIXに比べるとその上昇率は際立つ。
■株価上昇はいつまで続く?
海外の株式市場に比べて、日本株の出遅れが叫ばれ、中でも新興市場の出遅れ感が指摘されていたので、「やっときたか!」と小躍りしている人もいると思う。そして、思うのは「さて、この盛り上がり、どこまで本物で、どの程度の期間続くのだ?」ということであろう。
復活が本物かどうかを議論する前に、そもそも本物の新興市場が存在したのか、から議論する必要がある。市場の改善、もしくはリニューアルなくしてそこでの投資を議論することはできない。日本の新興市場が抱える問題点はなんら変わっておらず、今回の回復と呼ばれる盛り上がりも、以前のようなセンチメントを主体とした盛り上がりとなんら変わりはない。行き過ぎればまた簡単に下落していくであろう。
■新興市場の抱える問題点とは
新興市場には大きな構造上の問題がいくつか存在するが、今回は流動性の低さを指摘したい。市場で売買される株数が少なすぎるため、需給の逼迫が起きやすい。毎日一つしかケーキを売らないケーキ屋に10人の買い物客が来れば、価格は瞬く間に上昇するだろう。一方、たった10人なのにその10人が飽きてしまえば、価格は大暴落することになる。
今年こそは、新興市場で株式投資をする人口が激減したこともあり、株式上場時(IPO時)の初値(上場して初めて市場でつく株価)が急騰する現象は多く見られなかったが、かつての新興市場では初値が公募価格(最初に上場するときの株価)を上回ることが一般的であった。それゆえに、IPO銘柄をみな欲しがったわけである。初値が公募価格を上回るのは、上の流動性の問題に起因する割合が非常に高い。
■流動性向上のために必要なことは
流動性向上のためには、企業が新たに発行する株数と、既存株主が市場に売り出す株数を増加させればいいのであるが、両者にとってそうするインセンティブはゼロである。なぜか。まず企業にしてみると、上場はしたいが、資金調達が必要ないという企業が最近は多い。資金調達の必要性がなければ、新たに株式を発行する必要はゼロである。また、既存株主にとっては、上場後に初値が急騰してその後しばらくは公募価格を上回るレベルで株価が推移するのであれば、なぜわざわざ低い公募価格で株式を売却するのだ、ということになる。
実際のところ、既存株主による上場後の株式売却はロックアップ条項と呼ばれるもので制限され、上場後一定期間(通常は半年など)は市場で株式を売却できないことになっている。それゆえに上場後、高い株価で売りたいから公募時に売却をしないという議論は必ずしも当てはまるものではないが、最近はロックアップ条項をつけない上場銘柄も登場していること、そして、ロックアップを設けてもたかだか半年の期間しか有効でないので、留意するに値するであろう。
そして、他方では、公募価格は理論株価よりも安くついていることも挙げられる。一般に理論株価よりも20〜30%低い価格を公募価格とする。その理由は、これから市場に出て行こうとするぐらいのひよっこ企業の理論株価は信用性が欠けるので、ディスカウントを適用すべきだという議論である。
また、上場する企業は、今後の成長性、収益性がある程度約束された企業だけが上場できる「はず」である。それであれば、株価は右肩上がりで上がって行く「はず」であり、公募価格は中期的に見ると、最安値ともなりえる。これらを勘案すると、既存株主にとって売却を急ぐ必要性はない。
■株価上昇はいつまで続く?
海外の株式市場に比べて、日本株の出遅れが叫ばれ、中でも新興市場の出遅れ感が指摘されていたので、「やっときたか!」と小躍りしている人もいると思う。そして、思うのは「さて、この盛り上がり、どこまで本物で、どの程度の期間続くのだ?」ということであろう。
復活が本物かどうかを議論する前に、そもそも本物の新興市場が存在したのか、から議論する必要がある。市場の改善、もしくはリニューアルなくしてそこでの投資を議論することはできない。日本の新興市場が抱える問題点はなんら変わっておらず、今回の回復と呼ばれる盛り上がりも、以前のようなセンチメントを主体とした盛り上がりとなんら変わりはない。行き過ぎればまた簡単に下落していくであろう。
■新興市場の抱える問題点とは
新興市場には大きな構造上の問題がいくつか存在するが、今回は流動性の低さを指摘したい。市場で売買される株数が少なすぎるため、需給の逼迫が起きやすい。毎日一つしかケーキを売らないケーキ屋に10人の買い物客が来れば、価格は瞬く間に上昇するだろう。一方、たった10人なのにその10人が飽きてしまえば、価格は大暴落することになる。
今年こそは、新興市場で株式投資をする人口が激減したこともあり、株式上場時(IPO時)の初値(上場して初めて市場でつく株価)が急騰する現象は多く見られなかったが、かつての新興市場では初値が公募価格(最初に上場するときの株価)を上回ることが一般的であった。それゆえに、IPO銘柄をみな欲しがったわけである。初値が公募価格を上回るのは、上の流動性の問題に起因する割合が非常に高い。
■流動性向上のために必要なことは
流動性向上のためには、企業が新たに発行する株数と、既存株主が市場に売り出す株数を増加させればいいのであるが、両者にとってそうするインセンティブはゼロである。なぜか。まず企業にしてみると、上場はしたいが、資金調達が必要ないという企業が最近は多い。資金調達の必要性がなければ、新たに株式を発行する必要はゼロである。また、既存株主にとっては、上場後に初値が急騰してその後しばらくは公募価格を上回るレベルで株価が推移するのであれば、なぜわざわざ低い公募価格で株式を売却するのだ、ということになる。
実際のところ、既存株主による上場後の株式売却はロックアップ条項と呼ばれるもので制限され、上場後一定期間(通常は半年など)は市場で株式を売却できないことになっている。それゆえに上場後、高い株価で売りたいから公募時に売却をしないという議論は必ずしも当てはまるものではないが、最近はロックアップ条項をつけない上場銘柄も登場していること、そして、ロックアップを設けてもたかだか半年の期間しか有効でないので、留意するに値するであろう。
そして、他方では、公募価格は理論株価よりも安くついていることも挙げられる。一般に理論株価よりも20〜30%低い価格を公募価格とする。その理由は、これから市場に出て行こうとするぐらいのひよっこ企業の理論株価は信用性が欠けるので、ディスカウントを適用すべきだという議論である。
また、上場する企業は、今後の成長性、収益性がある程度約束された企業だけが上場できる「はず」である。それであれば、株価は右肩上がりで上がって行く「はず」であり、公募価格は中期的に見ると、最安値ともなりえる。これらを勘案すると、既存株主にとって売却を急ぐ必要性はない。
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