先般、エキサイトレビューでは杉江松恋さんが恒例・芥川賞直木賞予想で、みごと藤野可織『爪と目』(《新潮》2013年4月号)の芥川賞受賞を的中させた。今回、その作品を含む同題の作品集(新潮社)も出たので、読もうかどうしようか迷っている人向けに、この小説家の3冊の作品集をご紹介申し上げたい。まずは最新刊『爪と目』。芥川賞を受賞した表題作はつぎの一文で始まる。〈はじめてあなたと関係を持った日、帰り際に父は「きみ